“玉木首相”誕生はある? 「野党は嫌だから“何でもあり”はいかがなものか」小野寺五典・自民政調会長に聞く「ポスト石破」と「関税交渉」

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——絶対に譲れないということですね。あと、今しきりに造船分野で協力して、アメリカの造船業復活を手助けしたらどうかという話が出ている。これは実際、効果的なカードになりそうなんでしょうか。

これは日本にも大事なアイテムでして、例えば日米同盟でアメリカ軍と自衛隊がしっかりこの国を守るということでやっていますが、船は一定期間過ぎると定期検査があったり、修理があったりします。日本はドックがしっかりしているので、アメリカの第7艦隊、日本に来ているアメリカの船はしっかり整備できるし、稼働率が上がっているんです。

ところが今、アメリカは造船業がガタガタになっていて、本国で大事な船が直せなくなっている。それで稼働できない船も多いと言われています。これをテコ入れしてあげて、船がどんどん動くようにしないと、いざというとき安全保障面で日本としても大きな心配があります。「だったらお手伝いしましょうか」と。

これはアメリカにとってもプラスになると思いますし、日本の安全保障にもプラスになる。この点は、私は重要かと思います。

——それで関税交渉が妥結すればいいんですが、そんなに簡単にいくものなのでしょうか。

造船の協力などは一部だと思います。パッケージとよく言われるが、やはり今の貿易赤字を解消するものも考えてくれとアメリカが言ってくると思うので、それに対してどんなことができるかは政府内で今議論していると思います。

アメリカ国債を交渉カードに使う?

——あともう1つ、加藤勝信・財務相がアメリカ国債を交渉のカードとして考えているような発言された(その後、加藤氏は「アメリカ国債の売却を日米交渉の手段とすることは考えてはいない」と修正)。日本は世界一の保有国ですから、もし売るとなったら金利が上がるだろうし、アメリカの金融不安を招く可能性もある。日本にとっては強いカードだと思うのですが、今後の交渉でカードとしてちらつかせることはありうるでしょうか。

私はやるべきではないと思います。相手の国の国債を売るということは、ある面で相手の信用を落とすということになりますし、それは逆に言うとケンカを売るということになります。日米の関係の中で、私たちがアメリカにケンカを売っていいことはないと思います。

厳しいことをしっかり言って、関税自体が間違っているということは大事だと思うんですが、脅しを使っているということになると、また違った同盟関係になります。やっていいこと、いけないことがあって、相手の国の国債をカードにするのは、決していい選択肢ではない。

とにかく、これは為替も含めて大きな影響が出ますので、政府がそれを意図的にいろいろ操作するということ、政治的に使うということはあってはいけないんじゃないかと思います。

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