スーパーチューズデーでも決め手とならず、米共和党予備選は長期戦へ【米大統領選・専門家の見方】
米大統領選に向けた野党共和党の候補者指名争いは6日、予備選や党員集会が最も集中するヤマ場の「スーパーチューズデー」の投票が行われ、10州のうちオハイオ州など6州で中道派のロムニー・前マサチューセッツ州知事が勝利し、指名獲得に向け前進した。
一方、保守派のサントラム元上院議員は3州を制し、ギングリッチ元下院議長は1州で勝利した。今回の結果について、みずほ総合研究所の安井明彦・ニューヨーク事務所長は次のように分析している。
ロムニー候補は圧倒的な勝利を収められず
ロムニー候補は10州のうち6州で勝利を収めるも、天王山となったオハイオ州でのサントラム候補との差は僅差。南部ではテネシー州でサントラム候補、ジョージア州でギングリッチ候補に敗北した。「極めて保守的」な支持者、ブルーカラー白人層への浸透不足が解消されていないうえに、福音派の弱さが際立っており、モルモン教信者であることの影響が指摘されているところだ。
最終的に大統領候補指名を決める代議員の獲得数ではリードが一層広がっており、ロムニー候補の指名獲得はほぼ確実視されるようになった。2番手につけるサントラム候補の支持層が広がりを欠いているうえに、ジョージア州でのギングリッチ候補の勝利によって「非ロムニー候補」の一本化も遠のいており、代議員獲得数で他候補がロムニー候補を上回るのは現実的には難しくなったのが実情だ。
しかし、注目は各地の予備選挙結果にみられるロムニー候補の脆弱性に集まっており、対立候補が自発的に撤退しない状況下では、なかなか予備選挙に決着はつけられない。こうした展開は、代議員数ではオバマ大統領の勝利が確実視されながら、クリントン現国務長官との予備選挙が長引いた2008年の民主党の状況に似ている。