今や100万人に迫る在日中国人、富裕層だけじゃない“爆増”の歴史的必然、人口減少の日本社会は耐えられるか
いまや中国の人たちも本当にグローバルに動いています。日本に今起こっている現象はその一端、あるいはそのなかで最も大きな動きなのかもしれないですが、われわれの立ち位置も、歴史的にないしは地球規模の視点から考えたほうがいいと感じています。
現在の動きに近いのは「倭寇」の時代
ーー大陸の中での経済とか社会の大きな変動があると、それが人の流れという形で周辺の国々にも影響するということが繰り返されてきたわけですね。それが今、日本に向かっているのはなぜでしょう。
舛友:圧倒的に大きいのはコスパだと思います。いま中国から脱出したい人には先進国志向が強いのですが、そんな中でも日本は生活のクオリティが高いことが知られています。一方で欧米諸国と比べて、生活コストがすごく低いっていうのも目立つところです。
以前であればアメリカがやっぱり一番いいという感覚があったと思うんですが、トランプ政権がまた誕生してアメリカが不安定になり、米中対立も深刻化しています。そんな中で日本は安心安全な国というイメージが定着しているというところもあると思います。もう一つ付け加えると、日本では長期滞在ビザが取りやすいというのもあります。
岡本:ビジネスチャンスがあちこちに生まれているのに、中国国内の政策はそういう動きに必ずしも順応できない。そうなれば富裕層は国外にビジネスチャンスなり、あるいは自分たちの安全の地を求めて出ていきます。まさに習近平政権が直面している状況ですが、これもやはり、ずっと中国の歴史のなかで繰り返されてきたことなのです。
政府にとっては、富裕層とか知識人が国外に逃げざるをえないほど思想統制を強めたり、経済を犠牲にしてでも内政を締め付けたりせざるをえない状況が生まれているということでしょう。現状に一番近いのは、先にも申し上げた「倭寇」の時代、16世紀あたりかなという印象ですね。
そのあとに明から清への王朝交代があり、江戸時代に日本は中国からの人の流れをシャットアウトしました。ところが明治維新後の19世紀末には、清朝政府と対立する中国の革命勢力が日本に流れ込み、東京を舞台にさかんに革命運動が行われました。こうした経緯があるので、いまの「潤日」の動きについても、中国の中央政府としては、いつ反体制に転ずるか、心穏やかではいられないでしょう。
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