全長2kmの無料高速「KK線」廃止で「東京スカイコリドー」へ!打ち出された「Roof Park Project」とは?

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日本でもさまざまな試みがなされているところだが、国や地方自治体の施策による年度予算によって、期間限定的な試みで終わってしまうケースもある。

筆者は昨年度までの3年間、一般財団法人 運輸総合研究所の「人と多様なモビリティが共生する安全で心ときめくまちづくり調査」のアドバイザリー会議に参加し、有識者、国土交通省・警察庁の各部署関係者らと議論を重ねてきた。

この会議を通じて筆者は、法的な課題に加え、地域住民はもとより、街づくりに関わる人たちがゆっくりと、また状況によって方針を大きく変えることにも恐れずに、「人中心」という視点を見失わないようにすることが、最も大事なのだと感じている。

法的な課題は少なくても

話をKK線の今後の事業に戻すと、クルマが走らなくなった今、法的な課題は一般道に比べると少ないだろう。

ただし、ビルの谷間をぬうような位置で、かつ2階建ての屋上という地上からの高さがあるため、音楽や人の声などの「音」および「空気の振動」、また光の「反射」などが周辺の商業施設や住民に影響を及ぼすことも、ありうるのではないか。

ビルに囲まれた場所だけに反射による熱気、周囲への騒音などの対策が求められる(筆者撮影)
ビルに囲まれた場所だけに反射による熱気、周囲への騒音などの対策が求められる(筆者撮影)

実際、筆者は今回のリボーンセレモニーの終盤を地上の歩道で見ていたが、音響設備から聞こえる司会者や関係者の声は、かなり大きく聞こえた。

また、気象に対する配慮も必要だ。同セレモニーは開始から終了まで約1時間、外気温は摂氏20度程度だったが、地上や周辺建物からの照り返しもあり、気温以上に暑く感じた。

加えて、催し物や飲食店などで仮設テントなどを設置する場合、風の影響を考慮することも必要となる。

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いずれにしても、都心のド真ん中の高速道路を丸ごと「人のための空間」に転用するケースは世界的に見ても極めて稀だ。そもそも、KK線というビジネスモデルが、1950〜1960年代の時点でも特殊だったわけで、その次世代化に向けた発想に対する教科書がないのは、当然である。

KK線の未来は皆でゆっくりと考えていきたいと思うが、皆さんならどんな活用法や有効利用を考えるだろうか?

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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