東京高速道路によれば、KK線は千代田区、中央区、港区の区境に位置し、「鉄筋コンクリート作りの14棟の賃貸スペース上部と13の橋梁がつながる2km余のユニークな構造」と説明している。これらの建物は、地上2階、地下1階。
そのため、KK線の出入り口は首都高速道路と比べると狭く短い場合が多く、また大きな看板もないので「あれ、ここから入るの?」と、カーナビに導かれて初めて通る人は驚くことが多かった。

運転免許を所持するようになってからは、カーナビの案内による最短移動ルートとして利用するだけではなく、海外から東京に来た知人などを東京めぐりに案内する過程などで、KK線をよく使った。
またKK線から首都高速八重洲線を経由すると、JR東京駅への「八重洲乗客降り口」が知る人ぞ知る存在として、話題になることもあった。
そんなKK線の再生として打ち出されたのが、「Roof Park Project」だ。
キーワードは「ゆっくり」
東京高速道路関係者によれば、KK線の特徴である建物の屋上部分を利用することを強調するため、「Roof=屋根」という言葉にこだわったという。
プロジェクトのコンセプトは「みんなでゆっくりつくる未来」だ。ここでいう「ゆっくり」とは、走行速度が速いクルマと比べ、人が歩く速度がゆっくりであるイメージもあるだろう。
だが、プロジェクトの本意としては、KK線を活用したまちづくりを、「慌てないでゆっくり考えていこう」ということに重きを置いている。

実際に「みんなでつくろう。街の人が主役になれる東京を。ゆっくりつくろう。完成を目指さず、むしろ余白を大切に」として、挑戦や失敗を恐れず、誰もが実験を楽しめる場所にしていくとの意向を示す。
たしかに、この「ゆっくり」という観点は、欧米でいう「ウォーカブル=歩行者中心」な街づくりにおいて最も重要な視点だ。
一般的に「歩行者専用道でない」場合、ウォーカブルを実現するためには、パーク&ライド、ダイナミックプライシングによるクルマの市街地乗り入れ制限、規制速度を大幅に下げての人とクルマの共存、スロー走行するモビリティの採用などが必要とされ、特に欧米でこうした社会実証や社会実装の事例が多い。
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