全国新幹線「海産物輸送」、鹿児島→大阪間に密着 明け方に水揚げした魚が昼過ぎには売り場に

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「旬食フェア」では日本各地から新幹線に乗ってやってきた旬の味覚や銘菓などが並び、イベントも盛り上がりを見せる。特に名古屋コーチンを使ったプリン「ぴよりん」は、現地名古屋でも購入困難な大人気商品。イベントでも整理券販売となったが早々に売り切れた。本イベントを取りまとめたJR西日本地域共生部の玉川裕章課長も「ぴよりんに限らず、各地域限定で販売されているものが集まりましたが、お客さまが各地域のものをよくご存じで整理券のために並ばれていた」と感想を話す。

実はこの「ぴよりん」も新幹線荷物輸送と相性がよい。かわいらしいひよこ形が特徴だが、その形状維持はデリケートで、形を崩さず慎重に持ち帰ることは巷で「ぴよりんチャレンジ」とも呼ばれている。新幹線荷物輸送であれば、輸送の大半を乗り心地のよい新幹線で過ごすことができるため、こうしたデリケート品輸送にも適性が高い。

全国の新幹線網を利用できる

ただ、現在では法人向けサービスが中心であり一般への認知度はまだまだ低い。前回は東京で開催し、今回で2回目となった本イベントも認知度向上が主で、現在のように低単価小ロット輸送を恒常化するには消費者が増えていくことが不可欠だ。玉川課長はこう話す。

「食品卸業の方に知っていただく機会を増やしているほか、現在でも新聞などをデイリー輸送しています。食品に限らず医療分野や精密機器など、新幹線が秀でている速達、低振動のメリットと相性のよい分野をより模索していきたい。トラック輸送が抱える2024年問題、地域課題への解決ツールになるのではないかとも考えています。新幹線であれば帰りが“空荷”でもお客さまが利用されているので、回送とはなりません。また、駅弁のように時間単位で消費期限が管理されているものは新幹線だからこそお届けできるエリアがあるほか、速達することで販売機会を拡大することができる。日中時間帯に完結でき、全国の新幹線網を使用できるのは大きな可能性とメリットです。各地域のいいものをお届けし、今度は鉄道に乗ってその産地に行っていただければ、鉄道会社としてこんなにうれしいことはない」

新幹線は人と人だけでなく、地域のいいものをつなぐ、新たな時代に突入している。

大阪開催となった本イベントを取りまとめたJR西日本地域共生部玉川裕章課長(筆者撮影)
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村上 悠太 鉄道写真家

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むらかみ ゆうた / Yuta Murakami

1987年東京都生まれ。高校時代には「写真甲子園」に出場。交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』にて「突撃!ユータアニキ 鉄道HERO完全密着」連載中。撮影の講師や講演を多数行う。

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