企業も使える!ラグビー日本代表の「組織論」

多国籍チームで適材適所の起用

エディ・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は日本人選手にはない強みを持つ外国人選手をうまく起用しているようにみえる。「純血主義」にとらわれず、「適材適所」でベストのプレーヤーを出場させるのが「エディ流」。攻守両面で対戦チームとのコンタクトの多いフォワード第二列や第三列は外国人選手が多くを占める。これに対して、第一列は低いスクラムを組むのに適した体型の日本人選手ばかりだ。

「判断力に優れたプレーヤー」と評価されるスタンドオフの小野晃征選手は、幼少期からニュージーランドに住み現地の高校でプレーしたとはいえ、身長171センチと小柄な日本人の「司令塔」。スタンドオフのような“要”のポジションを外国人選手に任せていたかつての日本代表とは異なる。

筆者がプレーしていた学生時代、関東学生代表候補になった先輩がいた。所属していた大学のレベルからすると、傑出した存在だった。母校などでヘッドコーチを歴任した後、現在は同じグループで戦う別の大学で教鞭を執るかたわら、同大学のラグビー部の部長も務めている。その先輩に対して同期の別の先輩が言い放った、非常に残念なひと言が忘れられない。「敵の大学になんかいつまでもいないで早く、ウチの大学に来い――」

実に多国籍なスタッフと選手たち

こうした日本のラグビー社会の底流にある偏狭な発想が、「国際化」を妨げてきた面はなかったか。著名なラグビーの解説者は「日本ラグビーフットボール協会の幹部に○○大卒といった“学閥”意識のあることがネックだった」と話していた。実際、ジョーンズHCは日本代表よりも所属大学やクラブを優先させがちな選手たちの意識改革にも取り組んだという。

旧態依然とした面が残るのは、多くの日本企業も同じだ。いまだに学閥が話題に上ることも多い。それだけではない。たとえば、あくまでも「プロパー重視」を貫く会社もある。古くからの悪いDNAだけが受け継がれてしまい、なかなか大きく変わることができない――。

一方で、外国人の経営トップが登場し、英語を公用語にする会社も出てきている。その点でいうと、ラグビー日本代表はグローバル化の見本といえる存在だ。エディHCはオーストラリア出身、スクラム担当のマルク・ダルマゾコーチはフランス出身というように、スタッフの国籍もさまざまだし、選手もニュージーランドのほかサモア、トンガの出身者がそろう。

目標を一にした多国籍軍団が成果を出した日本代表のありかたは、組織論的視点からも注目され始めている。実は、大企業の経営陣にはラグビーファンが多い。それだけに今後、ジョーンズHCの選手指導や起用方法をお手本にするケースが増えてくるかもしれない。

あとは米国戦を残すのみ。目標にしていたベスト8進出は難しい状況だが、たとえ予選敗退という結果に終わったとしても、今回の歴史的快挙の価値が薄らぐことはない。

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