
2008年6月に生物多様性基本法が施行されてから今年で17年になる。同法の第6条で、「事業者は、(中略)生物の多様性に及ぼす影響の低減及び持続可能な利用に努めるものとする」と事業者(企業)の責務を規定している。生物多様性保全に関連する企業の取り組みにはさまざまな形態があるが、『CSR企業総覧(ESG編)』2025年版ではその規模を知る1つの指標として、「生物多様性保全プロジェクトへの支出額」を掲載している。
今回は、同誌掲載データ(原則、2022・2023年度)を基に、生物多様性保全活動への支出額が多い上位100社のランキングを紹介する。対象は同誌掲載企業1715社のうち、2023年度の同支出額を回答している525社。生物多様性保全プロジェクトの定義・基準は企業によって異なる場合がある。なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2025年版には、同ランキング上位300社を掲載するのでそちらも参考にしてほしい。
1位は富士フイルムホールディングス
1位は富士フイルムホールディングス(生物多様性保全プロジェクト支出額18,503百万円、以下同)。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同しており、2024年にはTNFDレポートを発行し、基本方針(環境・生物多様性・調達)のほか、生物多様性の保全に関する取り組みについて開示を行っている。
具体的には、1983年に設立した公益信託富士フイルム・グリーンファンドを通じた、自然環境の保全・育成に関する活動や研究への助成および支援や、熊本県南阿蘇村との協力による水源涵養林の植林・整備を実施する。植物由来材料については、環境・人権に配慮・管理された森林資源由来の原料であるかを確認している。
2位は信越化学工業(17,575百万円)。化学会社として、PRTR関連物質等の排出量削減、省エネによるCO2排出量削減、COD、BOD、SS等の排水汚染物質やばいじん、NOx、SOx、VOC等の大気汚染物質の排出抑制に取り組んでいる。また、自社製品で使用するパルプのサプライヤーには森林認証取得と植林を要請している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら