1位は185億円!「生物多様性保全」への支出額が多い企業トップ100

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3位は王子ホールディングス(16,300百万円)。国内社有林19万haの森林保全を推進し、さらに1.1万haを、生物多様性を含めた環境保全林に指定し、管理している。北海道猿払村の社有林では、絶滅危惧種であるイトウを保全するためにイトウ保全協議会を立ち上げ、遡上を妨げる障害物の除去、河畔林の保全、シンポジウムによる啓蒙活動を実施している。そのほか、高知県の木屋ヶ内の社有林は自然共生サイトに認定され、絶滅危惧種のヤイロチョウの保護活動にも取り組んでいる。

4位は中外製薬(11,938百万円)。生物多様性保全の観点から、環境生物への影響を確認するために、国内すべての工場・研究所の排水を対象とするWET(全排水毒性)試験を年1回実施。排水に含まれている化学物質の影響を総合的に把握・評価している。また、NPOの協力の下、生産拠点の水源となる地域での森林保全ボランティア活動も実施している。

5位は東レ(8,775百万円)だ。同社は鎮守の森方式で、各地の生態系に配慮した自然樹林の形成・維持活動を全社で50年以上も継続しており、各事業所内の自然樹林による緑化は合計で約20万㎡に上る。とくに東海工場では、地域の学生や企業、行政、専門家と連携したビオトープの整備など、自然共生・生物多様性保全活動を推進している。

以下、6位日本電信電話(NTT)(5,339百万円)、7位三井住友フィナンシャルグループ、(4,525百万円)、8位出光興産(4,274百万円)、9位日本製紙(3,265百万円)、10位NTTドコモ(2,727百万円)と続く。

生物多様性保全活動への支出額の平均値は2025年版でも増加

次に前回と同じく、生物多様性保全に関連する全体的な傾向を見てみる。『CSR企業総覧(ESG編)』2024年版から2025年版にかけて、生物多様性保全活動への支出額の平均値は237.3百万円(対象社数は530社、以下同)から247.3百万円(525社)へと増加した。

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国際的な評価にもつながるTNFD開示への対応も見てみると、2025年版では「行っている」が16.9%、「検討中」が33.3%、「行っていない」が47.1%、「その他」が2.8%だった(1163社)。前回に比べて「行っている」の割合は増えたものの、大きく前進したという印象は受けない。

日本企業はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)には積極的だったというが、その反動なのか、開示負担を懸念してか二の足を踏んでいるようにも思われる。

今回のランキングは企業による生物多様性保全の取り組みを支出額という側面で捉えて、トップ企業の支出額の規模など希少な情報の提供という意味合いが大きいだろう。ただ、支出額となると売上高など企業規模の影響は避けられない。今後は企業規模を考慮したランキングや変化率によるランキングなども検討し、企業の生物多様性保全の取り組みの動向に注目していきたい。

なお、今回紹介した内容は『CSR企業総覧(ESG編)』2025年版に掲載しているごく一部だ。最新の集計値等は、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2025年版にも収録されているほか、「東洋経済CSRデータ」でもさまざまなデータを提供している。

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