円安はなぜ起こる?為替はどうやって決まる?日々変動する「外国為替レート」の仕組みを徹底解説

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例えば、「米ドルが今後上がるだろう」と予想した場合、「円を売って米ドルを買う※」という行動をまず実施。そして、利益が出た場合や、思うように利益が出ずに取引をもう止めたいと考えた場合、「(※の取引で得た)米ドルを売って、円を買い戻す」という行動を行うのです。

こうした「反対売買」を行って取引を終了(クローズする、といいます)するのです。

外国為替市場でのバランス

このような違いのある「実需」と「投機」の動きですが、外国為替市場の全体でどのようなバランスになっているのでしょうか。

参考までに、国際決済銀行(BIS)のデータを見てみましょう。

拡大する外国為替市場の取引量
(『円安はいつまで続くのか 為替で世界を読む』より)

これによると、2022年4月時点では、取引全体における「金融機関による取引」は94.3%となっています。「非金融機関顧客による取引」はわずか5.7%です。全体の取引における「非金融機関顧客」の割合は2007年には17.8%ほどでしたが、その後10年以上にわたり、縮小傾向にあります。

各種規制緩和や金融緩和等を経て、外国為替市場の規模が大きくなっていった一方、非金融機関顧客による取引は、ともすれば規模が縮小する等して割合が小さくなっていきました。

この、非金融機関顧客による取引は、おおむね「実需」と見ることができるでしょう。

一方、金融機関による取引の中にも「実需」によるものが含まれているため、「金融機関による取引」のすべてが「投機」というわけではありません。しかし、「投機」の占める割合はかなり大きいと考えられます。

つまり、ニュースなどでよくいわれる「市場関係者」というのは、ほぼ「投機」側にいる人々(=投機筋)と考えてよいでしょう。

日々の値動きはこうした投機筋の人々が、「何に注目し、何を手掛かりに取引をするのか」ということが反映されています。そして、彼らが最も注目しているのが「金利差」なのです。

繰り返しになりますが、高金利の通貨で運用すれば、低金利の通貨で運用するより金利面では利益が大きく取れます。

さらに市場で、「低金利通貨の国の通貨を売って、高金利通貨の国の通貨を買う」動きが加速すれば、高金利の国の通貨は値上がりしていきます。そうなれば、金利差と為替レートの価格差の両方の利益を取ることもできます。

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