「東京に住むなんて考えもしなかった」から一転、54歳で山形から東京へ≪単身移住≫を決意した理由とは?考えを変えた”2つの出来事”を聞いた

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうして山形で介護支援専門員(ケアマネージャー)として働いていたとき、東京移住のきっかけになった大きな事故が起きた。2005年12月のJR羽越本線脱線事故である。この事故とほぼ同時に、担当していた90代の女性が転倒により骨折・入院し、動けなくなってしまった。だが、事故の影響で鉄道が当面復旧できないことになり、女性の家族らは駆けつけることができなかった。

「家族が来れなかったため、着替えなどを女性の自宅に取りに行って届けるということまで私がやることになりました。このとき、家族が離れて暮らすことの大変さを痛感しました。娘たちは東京で就職していたため、『私たちが近づいていかない限り、娘2人が大変になる』と考えるようになりました」

公園の滑り台でお孫さんと
(写真:室星さん提供)

孫の世話をせずして老後世話になれない

移住を考える上で、もうひとつの後押しとなったのが、東京で長年暮らす4歳年上の姉の存在だ。

「姉は24歳で結婚し、子育てをしながら働いていました。家を建てる際には、九州に住む義両親に『一緒に住んでほしい』と打診するも、断られてしまいました。

働きながらの子育ては本当に大変そうでした。なのに、子育てが終わった頃には、今度は義両親のほうから『東京で同居したい』と申し出があったんです。でも姉はきっぱり断っていました」

その姿を見て、「親が自分の都合で急に頼るのはよくない」「子供の人生をサポートすべきだ」と流美子さんは強く感じたという。

当初、東京への移住などまったく考えていなかった流美子さん。しかし、東京であれば交通網が発達しており、娘たちがどこに住んでいてもすぐに駆けつけることができる。育児の手助けもできれば、自分が好きな介護の仕事も多種多様に選べる。さらに、将来自分が施設に入ったとしても、娘たちへの負担を最小限に抑えられる――そう考えたとき、「自分が動くべきだ」と決意した。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事