編み物が「オールシーズンの楽しみ」に! 若者に“編み物ブーム”、実は「タイパ・コスパ最強」。《自分らしさ》を出せることも人気の秘密
韓国ではおうち時間が増えたコロナ禍から、若い人の間で編み物が流行。韓国で活動する宮脇さんの編み物は、Y2K、古着など懐かしいものが流行する日本のトレンドにも合っていた。

手芸用品・生地・ホビー材料専門店のユザワヤ蒲田店で毛糸売り場を担当している舛舘朋子さんは「ここ30年で一番の盛り上がりです」と語る。
以前はビル1棟が毛糸売り場だったような時代もあり、当時は子どもが着るセーターなどが編まれていたが、「その時とは違う流れです。若い方が自分の好きなものを作っています。みなさん動画で編み物を始めていて、編み図を読めなくても動画の通りにやると編み上がるんです。好きなタレントさんが編んだものを同じように編みたいというのもあるようですね」(舛舘さん)
編み物というと冬がシーズンで、春になると売り場を縮小する手芸品店もあったが、いまはオールシーズンで楽しまれているという。
タイパ・コスパ最強
編み物は時間がかかるし、安いモノであふれる時代。タイパ、コスパを大切にする若者がなぜ編み物に向かうのか。博報堂生活総合研究所の上席研究員の近藤裕香さんは「逆」だと言う。
「編み物はタイパ、コスパが最強なのです」
毛糸とかぎ針、とじ針は100円ショップで買えば、合計300円(税抜き)で、好きなものを作れる。編み物をして無心になる時間は、デジタルデトックスにもなってお得だ。
「大がかりな道具を使わないので、場所も問いません。カフェや電車内で編み物をする若者をよく見かけます」(近藤さん)
若者にとって、編み物は「自己表現の手段でもある」と近藤さんは推測する。
「みんなが同じものを目指す時代ではなくなり、パーソナルカラー診断のように、『自分に合うのはこの方向性だ』という羅針盤を持ちながら『他の人が持っていない何か』『自分らしさ』を模索する流れがあります。
そのなかで、色やデザインに自分らしさを織り込める編み物は、自分の分身のような、自分を表明するものでもあるのではないでしょうか」(近藤さん)
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2025年4月21日号より抜粋
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