世界一売れたゲームの映画、普段避けられがちな「タレント吹き替え版」がおすすめな理由

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とはいえ、ストーリーがほぼないゲームが映画化した例はある。前述の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』もまさしくそうだ。

マリオはどのように映画にしたのかといえば、これは「ゲーム体験を映画化する」といった手法を取っていた。そもそもゲームとは総合芸術であり、操作してクリアした喜びのみならず、グラフィックやサウンド、演出にコントローラーの振動といった要素もすべてひとまとめにして体験するものである。

ボスと戦うときのBGMが人気になりやすいRPG

たとえばRPGではボスと戦うときのBGMが人気になりやすいが、あれは「強敵と対峙する緊張するシチュエーションで流れる音楽」だからこそ印象に残りやすいわけだ。各要素が複雑に絡み合い、ゲーム体験をプレイヤーに与えるのである。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はこのゲーム体験をうまく映画に乗せており、観客は見ているだけでゲームの思い出を呼び起こされるような仕組みになっていたのである。

マインクラフト/ザ・ムービー
実写に寄せるためゲームキャラクターはやや不気味な存在になっているが、村人はそのなかでもかなり危うい。もはや、そういうものだと思うしかない(画像:YouTubeよりキャプチャー)

しかし『マインクラフト』にはそういう共通体験があまり存在しない。前述のようにこのゲームは自由なので、遊び方は本当に人それぞれなのだ。

『マインクラフト』はひとりで遊ぶこともできるし、家族や友人と遊ぶこともできる。インターネットで知らない人と遊んでもいいし、同好の士を集めてプレイしてもよい。

ゲーム内容も、バニラ(何も手を加えないもの)で遊ぶ人もいれば、アドオン(追加要素)をいろいろ入れるケースもあるし、あるいはMOD(個々人が作る改造データ)に手を出す場合もあれば、YouTubeなどの動画を通じて楽しむケースもある。何をどう作るか、どう遊ぶかも多様な選択肢があるわけだ。

世界一売れているゲームであり、同時に自由な遊びでもあることから、共通認識が作りづらい。こうなると映画では浅いところしか触れることはできないのである。子供はそれで喜べるかもしれないが、年齢が高くなるほど厳しくなりそうだ。

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