「54台のカメラで住民を監視」渋谷の一等地マンションで30年独裁を続けた管理組合理事と住民の壮絶な戦い(前編)

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面談は2度に分けて行われた。最初の面接は管理人の大山が相手だった。なぜか管理室の窓口越しに話しかけられ、180cm近い多鹿は膝をつくほど体を折り曲げ、かがんだ姿勢で応対した。

「管理人のこの態度はふざけているのか」「そもそもなぜ理事会の面談が必要なのか」

新生活を控えていたこともあり、喉元まで出かかっていた言葉をぐっと呑み込んだ。売主と売買契約を交わすも、理事会から「契約内容を白紙に戻せ」と干渉があった。

ネット上に書いてあったことは本当だった

2カ月半後、吉野理事長(仮名)との面談を経てようやく理事会からの許可が下りた。その後も事務手続きなどに時間を要し、入金は10月に入ってから。入居したのは、売買契約から4カ月も経ってからだった。度重なるやり取りを受け、多鹿はこう考えていた。「本当にネット上に書いてあった通りだな」

実は多鹿は秀和幡ヶ谷レジデンスの“悪評”を調べた上で区分所有者となっていたのだ。ネットでマンションの口コミを調べると、数々の否定的な言葉が並んでいた。それらを読み込んだ上で購入を決めたのは、渋谷区の一等地で3000万円台という破格の条件に依るところが大きかった。多鹿には「今の時代にこんなルールがいつまでも続くはずがない」という目論見があった。

理事会に対してある程度の想定はしていた。それでも、実際に区分所有者となるとネット上の悲鳴や想像を上回る出来事にみまわれる。

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