「商談がうまくいかない」を解決する【5W1H】会話術 欧米では特に"Why"と"How"が重視される

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日本では"Why"や"How"の質問が少ない傾向にありますが、欧米文化ではこれらの質問が頻繁に用いられ、意思決定の透明性を確保しています。

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン

5W1Hを使った質問と同じように、「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」をうまく使い分けることが重要です。相手の文化や考え方に配慮しながら、この2種類の質問をすることで、スムーズな会話や深い理解が生まれます。

オープンクエスチョン(開かれた質問)

オープンクエスチョンは、相手が自由に答えることができる質問形式です。この形式の質問は、回答に幅を持たせ、相手の考えや感情、経験を深く探るのに適しています。

「あなたの国では、どのように休日を過ごしますか?」といった質問は、相手が自分の言葉で説明する機会を与えます。

クローズドクエスチョン(閉ざされた質問)

クローズドクエスチョンは、限定された回答を求める質問形式であり、通常、回答者は「はい」や「いいえ」または特定の選択肢から選びます。

教養としての「異文化理解」
『教養としての「異文化理解」』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「あなたの国ではクリスマスを祝いますか?」という質問は、簡潔な回答を求める典型的なクローズドクエスチョンです。この形式は、具体的な情報を効率的に得るために有効です。

日本人学生が留学先のフィンランドの大学で、教師から「日本の教育システムについてどう思う?」とオープンクエスチョンを投げかけられ、答えるのに戸惑ってしまいました。

そこで教師は、「あなたは日本の教育システムに問題はあると思いますか?」とクローズドクエスチョンを加えると、学生は「はい」と答えて、「いじめなどの問題が……」という具合に次第に自分の意見も話せるようになったといいます。

このケースでは、クローズドクエスチョンが、オープンな対話への橋渡しとして役立ちました。

この例のように、クローズドクエスチョンをオープンクエスチョンへの回答の呼び水にすることもできます。異文化理解の文脈では、これらを状況に応じて使い分けることが重要です。

(出所:『教養としての「異文化理解」』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

岡田 昭人 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授

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おかだ あきと / Akito Okada

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。留学生教育学会副会長。Oxford-Cambridge Society会員。ニューヨーク大学大学院で異文化コミュニケーション学の修士号を、オックスフォード大学大学院にて教育学博士号を取得。東京外国語大学で25年にわたり日本人と留学生に教育学や異文化コミュニケーション学を指導。講演会やセミナー、執筆などを通じて異文化理解活動に務めている。著書に『世界を変える思考力を養う オックスフォードの教え方』(朝日新聞出版、『人生100年時代の教養が身に付く オックスフォードの学び方』として文庫化)、『オックスフォード流 自分の頭で考え、伝える技術』(PHP研究所)、『教育学入門 30のテーマで学ぶ』(ミネルヴァ書房)などがある。

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