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増えまくる《訪日観光客》をデータで分析する 「いつから増えたのか」「日本人旅行者とインバウンド旅行者の行き先の違い」

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  • 小西 葉子 筑波大学システム情報系教授・RIETI上席研究員(特任)
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まず、ぱっと図32と図33を比較して、どんなことが読み取れるでしょうか? 時計の6時の位置に2019年が来るように描いたので、右側がコロナ前、左側がコロナ禍~コロナ後になります。上下で比較すると、日本人旅行者はコロナ前もそれ以降も滞在先の順位が安定していることがわかります。

一方、インバウンド旅行者は、コロナ禍~コロナ後で交差が増え、順位変動が激しいことがわかります。さらに、1位が東京なのは同じですが、それ以降は色味が異なっていて、ランキング内容が異なっていそうだなということも慣れてくるとわかります。

色味を見てみると、日本人旅行者は、首都圏からアクセスがしやすい南東北、北関東の色味が高順位の内側に多いことがわかります。一番外側の順位が低いところは中国地方の色味が強いです。一方で、インバウンド旅行者では、東北~北関東の色は順位が低い外側に散見し、東アジアから近い九州地方の色味が内側に見えます。

日本人の行き先や人気は固定的だが…

つまり、日本人にとっての行き先や人気は固定的ですが、インバウンド旅行者は、日本人とは異なる嗜好を持ち、その魅力は短期的にも変化し、コロナ前と同じく人気な場所もあれば、需要が戻ってこない地域があることがわかります。地域による受け入れ側の努力が、観光地としての人気に影響する余地があると私は解釈します。

グラフを描くうえでのメリットは、順位は規模の情報を含まないので、急激な旅行者の増減が起こる大きな構造変化があったとしても、分析しやすいことです。

順位の変動をランククロックで見ることで、日本人旅行者とインバウンド旅行者の違いが見えましたが、地域の成長度合いはどうなっているでしょうか? 成長率の計算は「人数」という規模の情報を使います。終点はコロナ禍を含むと何年にするかでころころ変わってしまうので、ここではコロナ前までの期間で分析します。

2011年から2019年の延べ宿泊者数の「年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)」を計算すると、日本人旅行者は2.4%、インバウンド旅行者は25.8%でした。2時点の間に複数年ある場合は、前年同期比ではなく年平均成長率で計算したほうがより現実に合った結果になります。

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