「戒厳令は憲法違反」尹錫悦大統領が失職、6月に大統領選挙が実施? 日本との関係も不透明化

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2025年4月4日、韓国・ソウルの憲法裁判所付近で抗議活動を行う、弾劾された尹錫悦大統領に似せたマスクをかぶった人(写真・2025 Bloomberg Finance LP)

韓国の憲法裁判所は2025年4月4日、尹錫悦大統領を罷免した。2024年12月14日に韓国国会が可決した弾劾訴追案を、憲法裁判所の8人の裁判官が満場一致で認めた。

尹大統領はこれにより大統領から失職した。韓国憲法の規定により、60日後に大統領選挙が行われることになった。

裁判官8人の満場一致で「罷免」

憲法裁判所は「2024年12月3日に尹大統領が布告した戒厳令は憲法と戒厳法に違反した。憲法を守るという大統領の義務を疎かにした」と判断した。

また、国会議席で過半数を占める最大野党「共に民主党」が閣僚などを相次いで弾劾したこと、政府の予算案に反対したことが「戒厳令を布告するほどの重大な危機状況をもたらしたと見ることはできない」と述べ、「国会の権限行使が違法で不当であっても、大統領が国家の緊急権を行使することを正当化できない」と説明した。

12月3日深夜から同月4日未明にかけて、尹大統領が軍隊を動員して国会を制圧しようとし、国会議員の入場を阻止することを指示したことについても、「国会の権限行使を妨害した」と指摘した。

韓国の国会には大統領が布告した戒厳令を解除する権利を持ち、これは憲法に記載されているが、これにも尹大統領は違反しており、さらに国会議員の審議表決権、不逮捕特権を侵害したと憲法裁判所は判断した。

罷免決定で、韓国は再度、政治の季節を迎える。2024年12月以降、戒厳令・弾劾をめぐり韓国国内は対立を深めてきた。弾劾訴追直後には野党側を支持する声が圧倒的だったが、これに危機を覚えた保守層では、尹大統領・与党「国民の力」を支持する勢力も増えてきた。

韓国ギャラップ社によれば、弾劾直後の2024年12月の戒厳令・弾劾直後の政党支持度では、最大野党「共に民主党」への支持率は48%、与党「国民の力」は24%だったが、2025年4月第1週にはそれぞれ41%、35%と、与党側への支持が回復傾向を見せていた。

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