【48歳タイミーさん】クリスマス前にはじめての洗い場→ピークタイムの皿の量に“パニック”になり、《ベテラン調理師の手捌き》に見惚れるの巻
レストランの裏側にも、一人ひとりの人生あり
「何でまた、皿洗いなんかやろうと思ったの?」
飲食業を経験したかったから、と答えると
「へぇ〜(不思議な人もいるもんだ、なニュアンスで)。ここに来る人は、自分で店持ちたいって人が多いですよ」
確かに、店を持ちたいわけでもないのに業務用の皿洗いを学びたいなんて、変なやつだろう。
「今日は暇だよ。クリスマス前だから、みんな家で家族と過ごしてるんだよ」
忙しさを覚悟していたので若干の肩透かしとなったが、その分親切丁寧に教えていただけたので、自分にとってはありがたい限りだ。
ここで、料理人としてのキャリアをお聞きしてみた。
「私はもう40年やってますよ。最初は東京に出て板前になって。自分の店を持ったこともありますよ。でも、色々あって今はここでやってますけど。娘も結婚して、孫も2人いますよ。でも年だし、料理人はもういいかな」
控えめな笑顔で語る調理師さんのお話を聞いていたら、オーダーが入った。
「カツカレー1つお願いします!」
調理師さんはすぐさま調理を開始する。彼は揚げ物担当なので、豚ロースに衣をつけ、フライヤーで揚げる。その間にライスとカレー、福神漬けなどの小鉢類を用意する。しなやかで、一切無駄のない動きに見惚れてしまう。
揚げたばかりの、まだピチピチと音のする黄金色のカツを、慣れた包丁捌きでサクサクっと等間隔にカットして、カレーの上にまとめて載せる。もう何千回も繰り返してきたに違いない作業に、年月を経た洗練を感じる。あっという間に美しい盛り付けのカツカレーが出来上がり、お客様のテーブルへと運ばれていった。
か、格好いい……。いつも何も考えずに食べている高速道路の料理。ここでは、この道40年のベテラン調理師がこうやって作っていたのだ。そりゃ、料理だから誰かが作っているに違いない。でも、高速道路のレストランで、いや高速道路に限らずだが、作っている人の顔なんか見えないもの。逆に、調理師さんからもお客様の顔は見えない。
それでも見えないところでプロとしての仕事を続ける人がいるから、私達はどこでも外食を楽しむことができるのだ。

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