
「ただし……」と、沖津氏は言葉を継ぐ。「このイベントの場合、効果を生むための費用を無視するわけにはいかない。赤字を出しては成功とは言えないからだ」。
沖津氏の念頭にあるのが、2.9兆円の前提条件になっている2820万人という来場者想定の数だ。想定どおりの客が来なければ、運営は赤字になる。
とにかく買いにくい
実際、開催1カ月前の段階でも、万博の機運は醸成されず、前売り券は販売目標の1400万枚には届きそうにない。なぜこうなったか。今年で84歳を迎えた沖津氏が続ける。
「私は年齢の割にはデジタルを使いこなしているほうだと思うが、万博のチケットはとにかく買いにくい。ID登録をし、あらかじめ入場日時を決めなければならない。デジタルに強い社内の若手に手伝ってもらって、やっとのことで購入を完了できた」
今回の万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」のコンセプトには、来るデジタル社会の先行実装という意味も含まれる。
沖津氏は「その理念には共感している」としながらも、「各パビリオンに入場するためにはデジタルで手続きしなければならず、高齢者には厳しい。デジタルに固執するあまり、入場希望者の数が減ってしまうのではないかと心配している」と語る。
万博を誘致した松井一郎前大阪府知事の見解はどうか。
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