南海電鉄、泉北高速鉄道「合併」で何が変わるのか 利用者は歓迎、約10億円の収入減はどうする?

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減収の対策として、南海は乗り継ぎ利用などの促進策に加え、「鉄道のシステムや機能の統合により、重複する投資やコストの削減、運営体制の見直しなどの事業効率化策を合わせて実施していく」といい、「中長期的に収益向上に努める」方針だ。値下げによる利用者増加の想定については「公表は差し控える」(南海)という。

泉北線を走る南海の電車
泉北線を走る南海の電車(記者撮影)

値下げで利用拡大なるか

高額な運賃で知られた鉄道で、大幅値下げを実施した事例はすでにある。千葉ニュータウンを走る北総鉄道(千葉県)だ。同社は2022年10月、平均15.4%の値下げを実施。通学定期については64.7%引き下げた。

その結果、2022年10月~2023年9月の実績は、値下げ前の2019年度と比較して通学定期の輸送人員が約3割、普通乗車券の利用者も19.7%増えたという(2024年7月22日付記事『乗客増えた?北総線「運賃大幅値下げ」のその後』)。北総鉄道の場合は自社線内の運賃を引き下げているため、乗り継ぎ運賃を引き下げる泉北のケースと単純には比べられないが、値下げが利用拡大につながった例だ。

ヘッドマーク 「ありがとう泉北高速鉄道」
合併直前、「ありがとう泉北高速鉄道」のヘッドマークを付けた電車(記者撮影)
【写真をもう一度見る】南海電鉄との合併直前、2025年3月の泉北高速鉄道の姿。駅名の看板などに「泉北高速鉄道」の社名がある一方、車両はすでに「NANKAI」のロゴに。合併と新運賃をPRするラッピング電車の姿も

利用者にとっては歓迎であろう、合併による運賃値下げ。南海にとっては沿線の人口減少が進む中、値下げ効果でどの程度利用者を掘り起こせるかが今後の課題だ。泉北高速の吸収合併は沿線利用者や自治体、そして南海のそれぞれにとって「なんかいい」あるいは「とてもいい」結果となるか。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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