南海電鉄、泉北高速鉄道「合併」で何が変わるのか 利用者は歓迎、約10億円の収入減はどうする?

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実際には「日本一高い」わけではないが、泉北高速は運賃が高い路線というイメージで知られてきた。ただ、現状では運賃設定自体がとくに高いわけではない。例えば、泉ケ丘―深井間は1駅で大人220円だが、泉北高速は駅間の距離が比較的長く、同区間は1駅といっても4.1kmある。南海の運賃でも4~7kmは240円だ。

運賃が高額になるのは、泉北高速と南海を乗り継ぐ際、初乗り運賃を2度取られることが要因だ。合併によりこれが解消され、泉北線と南海線を乗り継ぐ際の運賃が下がる。

普通運賃(大人)は最大で150円の値下げとなる。例えば和泉中央―難波間(590円)や泉ケ丘―難波間(490円)のように変わらない区間も少なくないが、定期運賃は全区間で下がる。通勤定期(1カ月)は平均23.5%、通学定期(同)は38.8%の値下げだ。

泉北高速5000系
ニュータウンを走る泉北高速鉄道の5000系電車(記者撮影)
【写真】今となっては貴重な姿!南海の「ラピート」車両で運転していた特急「泉北ライナー」

利用者は歓迎、南海は減収

沿線利用者は当然ながら値下げを歓迎しているようだ。難波からの区間急行に乗っていた女性は「このご時世で値下げは助かる」。駅で泉北高速の電車にカメラを向けていた男性も、「(泉北高速の)名前が消えるのは寂しいが、メリットは大きいと思う」と語った。

値下げを決めた理由について南海は、「堺・泉北エリアはポテンシャルを秘めた重点エリアであり、関係人口増加や子育て世代の流入促進が期待できるなど、堺・泉北エリアのまちづくりという観点から取り組む意義は大きいと考えている」と説明する。

ただ、当然ながら値下げすれば運賃収入は減る。同社によると、短期的には年間で約10億円の減収が見込まれるという。

栂・美木多 南海電車
泉北線の栂・美木多駅に停車する南海電鉄の電車(記者撮影)
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