日本は衰退「食堂車と車内販売」欧州鉄道最新事情 「昔ながら」の形は減っても食事の提供は堅持
現在の欧州における鉄道供食サービスを見渡してみると、サービスの方法別におおまかに5つの類型に分類できる。
2)座席での食事サービス
3)1と2の混合
4)ワゴンサービスやデリバリー
5)車内に自動販売機設置
※1、2、3にはワゴンサービスが併用されることもある
それぞれの特徴を見ていきたい。
本格食堂車が多いのはどこ?
1つ目は、「食堂車」または「ビュッフェカー」。着席、あるいは立ち席で飲食できるスペースが存在する車両だ。長距離列車や国際列車に多い。いわゆる朝昼夕の食事以外にも、ティータイムにお茶とケーキ、あるいは酒とおつまみを楽しむといった使い方もできる。
2025年3月時点で、ダイニングテーブルを備え、着席して食事が楽しめる食堂車がある主要な鉄道会社・列車は以下の通りだ。
・ドイツ鉄道(DB)「インターシティエクスプレス(ICE)」
・スイス連邦鉄道(SBB)「インターシティ(IC)」「ユーロシティ(EC)」
・ポーランド国鉄(PKP)「エクスプレス・インターシティ(EIC)」「エクスプレス・インターシティプレミアム(EIP)」
・チェコ国鉄(ČD)「ユーロシティ」
※いずれも周辺各国に乗り入れる例あり
「レイルジェット」「ICE」は高速列車で、それ以外は基本的に従来型の客車列車だ。こうして見てみると、スイスを除けば旧東欧圏、もしくはそのエリアに乗り入れている列車が多いことに気がつく。


ドイツで鉄道のデザインに携わり、欧州の列車における供食事情に詳しい井上晃良氏はこの理由について、「東西冷戦の終結後も新線敷設などのインフラ整備が遅れたことで、調理師による本格調理がある古いタイプの食堂車が近年まで続いていた」と説明する。
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