日本は衰退「食堂車と車内販売」欧州鉄道最新事情 「昔ながら」の形は減っても食事の提供は堅持
駅弁の世界展開を目指している任意団体「Ekiben World Team(EWT)」を主導し、このプロジェクトの発案者でもある花善(秋田県大館市)の八木橋秀一社長によると、スイスへの出店理由は、同国の公共交通機関相互間の乗り継ぎが「便利すぎる」ことに着目したためという。
スイスでは、あらゆる交通期間同士の乗り継ぎを最適化し、長距離優等列車への乗り継ぎ時間も30分以内でという接続を実現した「タクト・ファールプラン」という仕組みがある。列車待ちや駅を歩く時間があまりないことは駅での販売には逆風にも思えるが、短時間で購入できる駅弁ならむしろ「テイクアウトへのシフトが進むと考えた」といい、その仮説を検証するためにチューリッヒに乗り込んだと八木橋社長は話す。

「車内供食サービス」は必要ないのか?
欧州の駅でもさまざまなテイクアウトの食品を販売しているが、火を通さないとおいしく食べられないピザやパニーニができあがるまでの時間が待てない忙しい人もいる。日本では駅弁販売も縮小傾向にあるが、欧州で改めて開花する日が来るかもしれない。

今回紹介したように、欧州の鉄道界では食堂車が縮小されても、さまざまな車内供食のスタイルがある。
筆者は大学生だった40年ほど前、新幹線食堂車でのサービスや、在来線特急でのワゴンサービスに従事した。その経験を思い返すと「車内での供食サービスが全廃される日」がやってくるとは夢にも思わなかった。日本の定期列車から供食サービスをなくす際、海外事例などを参考にしながら知恵を絞って残そうとした動きを感じられなかったのが残念だ。

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