「予約したいのにできない」「値段が高すぎる…」中には7万円超えのすし屋も "超高額"、"予約困難店"が増え続ける根本的な理由
予約困難店や高額店が増えている背景には、さまざまな要因がある。しかし、この現象は本当に食文化の発展につながっているのだろうか。それとも、過度な商業化が進み、料理そのものの価値が変わりつつあるのだろうか。
予約困難店は昔から存在していたが、“一般化”して身近になってきたのはここ10年くらいのことだ。
野村総合研究所によると、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」の合計世帯数は、推計を開始した2005年以降増加の一途を辿っている。こういった国内にいる富裕層の増加によって「飲食店のプレミアム化」が進んだ。
また、訪日外国人旅行者数も、コロナの影響を除けば順調に増加しており、2024年は約3686万人と過去最高を記録した。2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」をはじめとした日本の食を味わおうと、中国、香港、シンガポール、中東などの外国人富裕層が日本の高級店を予約して訪れている。
こうした要因に加えて、最近では食べログ、InstagramやYouTubeなどのSNSが飲食店の集客に与える影響も年々増している。
若手料理人を引き抜き開業するケースも
このブームに乗ろうと、それなりの有名店から若手料理人を引き抜いて、高額店を開業するケースも増えてきた。いまや、長い下積みが必須というわけではない。ただ、若手料理人が独立しやすくなっているのは、こうした“高額店ビジネス”の影響が少なくないことも留意するべきだ。
予約困難店は、予約が難しいだけに、「予約枠」そのものに価値が生まれた。そこで新しい飲食店の予約サービスが誕生することにもなった。
2017年にサービスを開始したOMAKASEは、予約困難店の予約に特化している。これまで店が支払っていた予約手数料を、予約者=客が支払うビジネスを確立したのだ。客がお金を支払ってまで予約したいと思えるのは、予約困難店だからこそ。予約困難店は、もともと予約に困っておらず、そもそも手数料を支払うのが馬鹿らしいとも考えている。そのため、手数料が必要なければ、掲載してもいいという判断になっているようだ。
2022年にサービスを開始した食オクは、予約困難店の席を、オークション方式で競り落とすことが特徴だ。落札額は数万円が多いが、1席あたり数十万円というケースも少なくない。
予約サービスではないが、Foodies Prime(フーディーズプライム)も注目されている。同席者を募るサービスで、予約困難店ばかりが募集されている。あまり褒められたことではないが、予約困難店を予約する際、できるだけ多くの席を確保しておき、後から同席者を募集する人も少なくない。しかし、予約した席を埋められないこともあるので、求められていたサービスであったといえよう。
こういった“便利なサービス”が、予約困難店をより身近なものにしているといってもいい。
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