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「産休クッキー」炎上の背景に見える複雑な感情 負の感情に支配されず、心を軽くするための考え方

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  • 内田 舞 小児精神科医、ハーバード大学医学部准教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長
  • 塩田 佳代子 感染症疫学者、獣医師、ボストン大学公衆衛生大学院グローバルヘルス学科アシスタントプロフェッサー
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塩田:近年は逆に、リアルな場での繫がりを持つ努力をするようになりました。子どもを迎えに行ったときに、ちょっと学校に残ってほかの親たちと他愛ない話をするだけで、SNSとは全く違う本当の人間同士のコミュニケーションがとれることを再確認しました。

ときには、子育ての悩みを打ち明けたり、子どもの進路について相談したりもします。そこで得るリアルな情報は、とても役に立つのです。数分だけですが、毎朝顔を合わせて話しているからこそ、「今日いなかったけど大丈夫? 子どもが風邪引いた? なにか手伝おうか?」とお互いに連絡することができます。私が夫や親戚と遠く離れて暮らしていてもなんとかやっていけているのは、こういったリアルな人と人との繫がりのおかげです。

SNSが幅をきかせている現代だからこそ、自分から対面の交流を持ち人間関係を広げることは、子育てと仕事の両立という大変な時期を乗り切るために重要なのではないかと思います。

SNSの罠、エンパシーに欠ける生きにくい世界

塩田:そもそも、SNSでは全く知らない人とやりとりをすることで、すごく世界が広がったと思いがちだけれど、それは勘違いなんですね。

SNSの世界では、どうしても自分と考え方が似ている人、好きなものが似ている人ばかりフォローすることになります。アルゴリズムに基づいて、どんどんそういう人たちと繫がっていくし、関連したコンテンツばかりがおすすめとして表示されるようになるから、一見世界が広がっているように感じるものの、視野としてはひどく狭まっているのです。

加えて、人間には「確証バイアス」というものがあり、自分がこうだと思ったら、その確信をサポートするような情報しか手に入れようとしなくなります。

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たとえば、コロナワクチンが安全じゃないと思った人は、ワクチンに否定的な情報ばかり集め、自分の考えを固めていきます。「どちらかわからない」という立場で、フラットに情報を集めることができなくなってしまうのですね。自分とは逆の考えの情報も集めてみて、比較してみよう、なんて思える人はそうそういません。

こうして、SNS上では自分と似ている人たちとの繫がりが強固なバブルになり、それ以外の人と交流することが極端に少なくなる。だから、自分と違う生き方、価値観、考え方の人に会うと戸惑ってしまう。「この人はどういう境遇なんだろう。どういう考え方なんだろう」と推し測る力や許容する力、話し合う力、共感する力がどんどん弱まり、感情的にカッとなってしまって衝突する。それは、エンパシー(自分と異なる価値観に触れたときに、相手の考えや感情を思いやり、想像する力)に欠ける、生きにくい世界ではないでしょうか。

SNS時代になればなるほど、多くの人と繫がっているようで、実は本当のところでは繫がっていない、とても孤独な状況に置かれるのです。

【もっと読む】日本で「子持ち様」論争が過熱する根本原因 では、日本で「子持ち様」論争が起きる背景と、誰もが生きやすい社会を実現するためのヒントを探ります。

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