「産休クッキー」炎上の背景に見える複雑な感情 負の感情に支配されず、心を軽くするための考え方

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内田:数年前に、当時5歳だった長男と人種差別についての会話をしていた際、息子は「差別ってどうしてあるの?」と聞きました。私は「人間はほかの人を弱いと思うことで、自分の力が強くなると思ってしまうところがあるからじゃないかな」と答えたのですが、息子は「でもほかの人を弱いと思っても、自分は強くならないよ?」と純粋な疑問を言葉にしました。私は5歳の息子のこの言葉を胸に留めています。誰かを下げても、自分は上がるわけではないんですよね。

しかし、それでも人間誰でも嫉妬を感じるものなので、嫉妬心を抱いた自分を恥じることはありません。けれど、上手に処理する方法は持っていたほうがいいでしょう。

私も周囲の人のいろいろな要素に嫉妬することはもちろんあります。そんなときに私が使っている具体的対処法はとても簡単。「私、嫉妬しているんだ」と受け入れることなんです。「この人にはこういうところがあって、それを私はうらやましいって思っているんだ」という事実を認識するだけで、嫉妬から来る攻撃性は薄れ、十分感情のマネージができます。

感情というのは面白いもので、どんなネガティブな感情でも、その感情に名前がつくこと、そしてその感情を自分が感じてもいいと許可を与えてあげると、途端に受け入れやすいものになるのです。逆に、「こんな感情、自分が感じているはずはない!」と感情を否定し、押し込めるごとにグツグツとその力は増強してしまうこともあるのですよね。

SNSは「外的な評価を意識したら最悪のツール」

塩田:対処法を持っておくことは大事ですね。SNSの存在で、いろんな人の日常を簡単に垣間見ることができるようになり、無意識に自分と比較してしまうのは誰でもあることです。それによって、過去になかったいろいろな問題を生み出していると思います。でも、SNSというシステム自体が悪いわけではないのですよね。

たとえば、親しい知人と情報をシェアしたり、離れている日本の友人と近況報告をするのに、SNSは使い勝手がいいツールです。一方で、外的な評価を意識したら最悪のツールです。

大学生の頃SNSを始めた当初、私は設定をオープンにしておいたので、いろいろな人から「いいね」をもらえました。そして、それを単純に嬉しく思いました。でも、だんだんとストレスになっていきました。

「昨日は50いいねだったのに、なんで今日は12いいねなんだろう」

「なにか変なことしちゃったのかな」

こうして、考える必要のないことに振り回されているおかしさに、あるとき気づきました。人と人との繫がりが数値化されるってやっぱり気持ち悪いですよね。

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