【産業天気図・鉄鋼】需給タイトで高炉は「快晴」も、スクラップ高で電炉は「曇り」

07年度の鉄鋼業界は引き続き「快晴」となろう。しかし、汎用鋼主体の電炉は「曇り」となる見込みだ。
 確かに、ここ数年にわたって指摘されている中国の増産リスクは、07年度も収拾しそうにない。日本鉄鋼連盟は07年の中国の粗鋼生産量を4億9200万トン(前年比17.1%増)と予測している。06年度は中国の増産分を米国や欧州での需要が吸収した形だが、07年度も同じ状況が続く保証はない。だが、中国製品のほとんどは汎用鋼で、日本の高炉メーカーが得意とする高級鋼に大きな影響はないとの見方が強い。むしろ、新日本製鉄<5401.東証>やJFEホールディングス<5411.東証>、住友金属工業<5405.東証>は、06年度に増強した新規設備が本格稼働に入る。高級鋼シフトに拍車が掛かるうえ、需給もタイトな状態が続こう。06年度に決着しなかった大口需要家向けの価格交渉がまとまれば、収益は一段の向上も期待できる。
 逆に、鉄スクラップから鉄鋼製品を作る電炉メーカーにとっては、厳しい1年となりそうだ。中国の増産に伴って原料スクラップ価格の高止まりが続く見通し。各メーカーとも価格転嫁を急いでいるが、追い付くのは07年度後半に入ってからか。東京製鉄<5423.東証>は電炉では初めてとなる厚板生産に参入して品種構成の改善を急ぐが、そのほかの電炉、特に建材など汎用鋼を主体とするメーカーは好転材料に乏しい。また、総合商社が鉄鋼事業の見直しを進めていることも懸念材料だ。新日鉄系の大阪製鉄<5449.東証>による三井物産<8031.東証>系の東京鋼鉄<5448.JQ>の買収計画(07年2月の臨時株主総会で否決)など、今後も電炉再編の動きが加速する可能性が高い。
【猪澤顕明記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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