その調査をまとめたのが、東洋経済『役員四季報』2016年版だ。
2015年7月時点における上場企業の女性役員数は1142人。全体に占める比率は2.8%とまだ非常に低い水準だが、14年の816人から比べると大きく伸ばしている。
また、女性役員が3名以上いる会社は37社あることがわかった。トップは役員10名中6人のシーボン。女性役員が2名以上いる会社は178社で、昨年に比べると59社増加している。
女性への固定概念が昇進を阻んでいる
1962年に創立されたカタリストは、女性のキャリア推進とビジネスの発展を目的とした非営利団体で800を超える会員企業を持つ。女性と男性が公平で対等な成長の機会を持てるような職場環境形成を目指しており、関連する調査、コンサルティング、研修を提供している。
カタリストが日本で本格的に活動を開始したのは14年。やはり機が熟したということなのだろう。CEOのデボラ・ギリス氏は「日本は人口の半分を占める女性が十分に活用されていない。カタリストのリサーチや優秀企業の事例を紹介することによって、日本企業の業績向上や戦略策定のお手伝いをしたい」と意気込む。
このように、役員・管理職とその候補者を増やす機運が高まってきたが、20年までに社会のあらゆる分野において、指導的地位の女性比率を30%程度とする政府目標はまだまだ遠い。デボラ氏は企業における女性の昇進を阻む壁として、仕事のあとの飲み会のようなインフォーマルなネットワーキングの機会が少ないことを指摘する。
「女性より男性のほうが、大きいプロジェクトや予算を使える機会が与えられることが多く、女性は子どもが小さいから無理だろうといった固定概念を持たれやすい」(デボラ氏)
先進的な企業の中には、無意識に持っている偏見や固定概念を取り除く研修を行い、女性も男性と同じような昇進の機会を得ることができるよう、仕組みとして工夫しているケースもあるという。
また、前出のバーバラ・ジャッジ氏は、女性の昇進にはスポンサーとなる人物がカギを握ると語る。
「あなたと話をしてくれるのはメンター。あなたのいないところで、『彼女は優秀だよ、彼女にやらせてみるべきだ』と、あなたのことを話してくれる人がスポンサー。私の女性へのアドバイスは、メンターもスポンサーも複数の人を見つけること。一人だと、その人が転職するかもしれないから」とバーバラ氏。
メンターが助言をしてくれる存在だとしたら、スポンサーは周囲に働きかけてくれる人となる。女性の管理職や役員が増えていくと、こうした実践的なアドバイスもますます必要となりそうだ。
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