毛先モフモフ歯ブラシ「モフらし」はなぜ売れた? 高齢者から子どもまで、想定外のニーズでヒット

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好調な販売は同じ商品を再び購入するリピート率の高さにも表れている。
約6000万人規模の購買データを扱うTrue Dataのサイト「ウレコン」によると、「モフらし」のレギュラータイプのリピート率は7.97%、コンパクトタイプは11.07%(2025年2月24日時点)。

歯ブラシの平均リピート率が6.5%程度とされる中で平均よりも高い数値となっており、着実にユーザーの支持を集めている状況だ。

2024年に「モフらし」へ商品名を変更。子どもや若者にも親しみやすいキャラクターを追加した(記者撮影)

競争激化する濃密極細毛歯ブラシ、今後の勝算は?

一方、最近では「モフらし」を追う他社の動きも目立つ。都内のディスカウントストアの歯ブラシ売り場を見ると、直径0.1ミリの極細毛を採用した商品や「モフらし」よりも多い3万5000本の毛を密集させた商品などが販売され、中には品切れになっている商品もあった。

モフらしの販売開始以降、メーカーなど各社も濃密極毛歯ブラシを相次いで販売している(記者撮影)

こうした動きもある中で、大木は時短につながる電動歯ブラシ型を投入。毛先を固めにしたタイプも新たに販売し、ラインナップを増やして対抗しようとしている。

「SNSでの人気は移り変わりがとても激しく、ヒットにつながるのも早いし、落ちていくのも早い。そうした中でも隠れた需要をしっかりととらえていくことが何よりも重要」(奥野部長)

モフらしのヒットは、想定していなかった潜在的なニーズをつかんだことが大きい。しかし、それだけではなく、消費者の声を聞き、子ども向け商品を開発したこと、親しみのある商品名に変更するなど、柔軟な戦略を進めたことが、長期で商品を成長させたポイントだった。

濃密極細毛歯ブラシというジャンルを切り開いたうえで、さらにどんな機能や便利さを追加していくのか。消費者の声に耳を傾け、より使いやすい商品を開発していく取り組みはこれからも続きそうだ。

吉田 敬市 東洋経済 記者

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よしだ けいいち / Keiichi Yoshida

1988年生まれ。テレビ局記者を経て、2024年10月入社。現在はドラッグストアや調剤薬局の業界を中心に取材。流通・小売業のほか、人口減少、環境問題、災害といったテーマにも関心をもつ。大学時代は政治学を専攻。趣味はバスケットボール。

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