毛先モフモフ歯ブラシ「モフらし」はなぜ売れた? 高齢者から子どもまで、想定外のニーズでヒット

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当初から想定していたのは、歯茎が弱くなった高齢者の需要だ。筆のような滑らかさで歯茎に負担をかけずに磨けることや、歯茎のマッサージ効果があると見込まれ、加齢で歯茎が弱くなった人、歯周病に悩む人などに受け入れられるのではと考えていた。

ただし、商品について心配する声もあった。企画や販売を手がけた快適生活用品事業部の奥野好則事業部長は「正直、発売前から『これは売れるのか?』という声はあった」と当時を振り返る。

ヒットの秘密はふわふわの毛先に加えて、かわいいパッケージも貢献しているようだ(記者撮影)

歯ブラシは大手メーカーの定番ブランドの人気が強い商品カテゴリーだ。また、低価格のプライベートブランド商品も多く流通しているため、ブランド力の面でも、価格戦略の面でも新規参入が難しい。

奥野部長は「歯ブラシは本当に難しい商品カテゴリーで、こちらはほかと比べても値段が高い。商品に自信はあったが、新規参入が難しいといわれる市場に本当に入っていけるかどうかはチャレンジだった」と語る。

消費者の意外な反応、柔軟に商品戦略を転換

しかし、2021年4月に発売すると、小売店のバイヤーや消費者などから予想外の評価が大木に寄せられるようになる。

特に意外だったのが、大手ディスカウントストアで販売が伸びたことだ。
歯ブラシを取り扱うコーナーでは「ふわふわ」や「やさしい」といったポップアップとともに商品が陳列されるようになり、想定外の若者層から人気を呼んだ。さらに「この歯ブラシで磨くと子どもが嫌がらない」といった意外な声も寄せられた。

そこで、販売から2年後の2023年に歯ブラシの先端部分を小さくしたスーパーコンパクトを発売。この商品も、税抜698円(提案参考価格)と高めだが、発売から約半年後には月に3000~4000本程度と安定した販売本数を記録するようになる。

口コミやSNSの評価によって、じわじわと人気が広がり、発売から3年後の2024年3月にはシリーズ累計販売が100万本を突破した。

さらに、昨年4月には商品名を「濃密極細毛歯ブラシ」から「モフらし」に変更。ふわふわとした毛並みのねこのキャラクターをパッケージに登場させてイメージを一新したところ、2024年4月から今年1月までの10カ月で約74万本が売れ、一気に火がついた。

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