自公維「電撃合意」に走らせた党内事情と万博予算 渦中の4党が"天秤"に載せたものは何だったか

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また、馬場氏に近い遠藤敬・前国対委員長に、自民党とのパイプ役を務めてもらった。前原氏は1月27日、遠藤氏と自民党の森山裕幹事長と会食しているが、この頃から自民党本部で遠藤氏の姿をよく見かけるという話が入ってきていた。

そして高校授業料の無償化については、私立高校の年間授業料の全国平均である45万7000円で合意した。日本維新の会にとって、大阪府と同額の63万円という「満額回答」を得られないまでも、十分な合格水準といえるだろう。

一方、政府・自民党にとっては、高校授業料無償化の予算額は5500億円で、「103万円の壁」突破に必要な予算額(7兆円)よりはるかに安い。しかも、医療費4兆円削減については実施時期を明記しないままで合意できた。

なぜ、維新は自民党との合意に応じたのか。日本維新の会は昨年6月、調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開などの実現に向けた党首間合意を自民党に事実上反故(ほご)にされた経験がある。このときの自民党側の言い訳が「具体的な時期の記載がない」というものだった。

「予算が通らなければ困るのは維新」

もっとも、医療費4兆円削減の内容の具体性についても、十分に詰められているとはいいがたい。にもかかわらず、合意したのはなぜか。これについて、「年度内に予算が通らなければ、困るのは維新のほうだろう」と、ある関係者は語る。

内閣官房国際博覧会推進本部事務局 経済産業省商務・サービスグループが2月4日に公表した資料によると、「大阪・関西万博の準備等に直接資する事業」として2025年度予算に計上されている費用は、「日本政府館の建設等のための費用」が6億円、「途上国等の出展支援等のための費用」が45億円、「会場内の安全確保に万全を期するための費用」が1000万円、「全国的な機運醸成等に要する費用」が34億円で、合計85億1000万円。国の予算としては大きくないが、4月13日に開会する万博にとっては遅滞なく執行されなければならないものだ。

自民党のみならず、各政党はさまざまな利害を天秤に乗せて判断するが、国民の生活が載せられた皿がいつも跳ね上がるのはなぜか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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