自公維「電撃合意」に走らせた党内事情と万博予算 渦中の4党が"天秤"に載せたものは何だったか
だが、国民民主党の古川元久代表代行は「苦労された跡は見えるが、税というのは公平、中立、簡素が基本原則。これにますます離れているのではないか」と批判的だ。
国民民主党が主張してきたガソリン税の暫定税率の廃止についても、ゼロ回答だった。石破茂首相は2月21日の衆議院予算委員会で、「誠意を感じない」と憤慨する同党の長友慎治議員の質問に対し、「(ガソリン税は)道路の整備にあてがわれており、地方はそれを望んでいる」と反論した。
各党の政策の背景にある「哲学」
政策の背景には、それぞれの政党の「哲学」が存在する。日本維新の会は教育無償化について、教育を受ける子どもの「人権」として考える。それなら親の収入は無関係となり、通う学校が私立であれ公立であれ、差をつける必要はない。
一方、こうした政策を「福祉」として捉える場合、低所得層に厚く、高所得層には薄くすべきという考えが出てくる。ゆえに、2月18日に自民党本部で開かれた文部科学部会などの合同部会で、所得制限なしの高校授業料無償化に対して異論が相次いだ。
所得税の控除問題についても、低所得層に恩恵を与える「福祉」政策として、対象とする所得層に限定を加えようとする自民・公明両党に対して、国民民主党は「経済活性化」政策として、対象所得層に限定を付さない。
その背景にあるのが「高圧経済」の理論だ。同党代表(3月3日まで役職停止)の玉木雄一郎氏が2021年5月31日のブログで、ジャネット・イエレン元FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)議長の講演(2016年10月14日)を紹介している。
高圧経済とは、総供給を上回る総需要を作り出すことで経済を活性化し、投資や技術革新のインセンティブを高めるとともに、労働市場外に出ていた労働力を呼び戻し、それらが循環することで景気回復を実現するものだ。そのためには、まず過剰な需要を作り出す必要があり、そのために「103万円の壁」を打破し、「手取りを増やす」というわけだ。
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