自公維「電撃合意」に走らせた党内事情と万博予算 渦中の4党が"天秤"に載せたものは何だったか

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もし国民民主党の案が採用されると7兆円ほどの税収減になるが、一方で民需拡大に動けば経済効果は大きい。しかし、これに財務省は大反対で、同省出身の宮沢洋一・自民党税調会長を使って“骨抜き”に動いた。その結果が、昨年12月の「控除額の10万円の上乗せ」と、今年2月18日に国民民主党に提示した前述の「自民党案」だった。

公明党は国民民主党とともに自民党案に反対した。しかし、2月21日に出した同党の独自案の上乗せ減税規模は6200億円程度。国民民主党の古川代表代行は同日の会見で「予備費の枠で収めようという思惑が見える」と辛辣に語っている。

これに出口が見えるかどうかは週明けの3党協議次第となるが、自公維の合意によって2025年度予算の年内成立のメドが立ったことも影響するだろう。そういう意味で、日本維新の会は自民党に大きく恩を売ったことになる。

急転直下で自公維が合意したワケ

それにしても不思議なのは、2月21日午前には自公維の政策責任者間の合意に至らず、日本維新の会の青柳仁士政調会長は記者団に「(3党間の溝が)埋まりつつあるというほどの進捗はない」と述べたほどだったが、午後になって一転して合意したことだ。その背景には次のような事情が存在した。

1つは日本維新の会の党内事情だ。昨年10月の衆議院選挙の敗退の責任を取る形で馬場伸幸前代表が退任し、吉村洋文・大阪府知事の「1頭体制」が発足。その吉村氏の意向で、前原氏が昨年12月に国政担当の共同代表に就任した。

これによって馬場派は中枢から追いやられ、党内は中間派を含めて3つに分かれているといわれている。2月13日には馬場氏に近い浦野靖人衆議院議員が、「一部の人間だけで政策を決めている」と批判する騒動まで発展した。

こうした中で前原氏が求心力を高めるには、自民党にその主張を飲みこませるしかない。幸いにして前原氏は石破首相と「鉄道ファン」という共通点があり、従来から気脈が通じていた。

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