令和ロマンが浮き彫りに「オンカジ」政府責任は? 巧妙な広告戦略に問われる日本の法規制と対策

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この事件では、阿武町が誤給付した新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を犯人がオンカジに使っていたことが明らかになった。これを受けて岸田首相(2022年当時)は、国会答弁で「オンラインカジノは違法である」と明言した。

つまり、それまでは事実上、政府による「黙認」状態にあり、事件後も政府の対応は後手に回り、オンカジに対する取り締まりや啓発活動はほとんど行われてこなかった。

「ですから、2019~2020年に高比良くるまさんが違法性をわかっていなかったのも、さもありなんという感じです。政府の対応が遅れていることが、オンカジの拡大を助長してきたといえると思います」(田中さん)

また、2018年には「IR(統合型リゾート)実施法案」が成立し、特定の地域内で認められた施設型カジノが解禁された。このことも、人々のオンカジに対する認識を混乱させる大きな要因となった可能性がある。

「IR法案が成立したことにより、『日本でカジノが解禁されたのだから、オンカジも合法だろう』と誤解した人たちも多いと思います」(田中さん)

オンカジの急拡大は、コロナ禍が引き金となったことも否定できない。「考える会」でも、コロナ禍以降、相談の10~20%がオンカジ関連になったという。

「コロナ禍で外出自粛期間中など、自宅にいる時間が増えた。スマートフォンやパソコン1つで、24時間どこでも賭け事ができるオンカジの特性から、ハマってしまう人が急増した。コロナ禍で日本からのアクセス数は、コロナ前の約100倍になったといわれています」(田中さん)

オンカジは業者の広告戦略が巧妙であることも問題だ。

YouTubeやSNSを通じて、有名スポーツ選手などをイメージキャラクターに起用したり、ターゲット広告を利用してギャンブルに興味がありそうな若年層に狙い撃ちしたりする手法で利用者を増やす。

無料版を入り口として誘導され、気づけば有料版に移行して本格的にギャンブルにのめり込むケースが増加している。

依存で借金から犯罪への負の連鎖

オンカジの問題の本質は、違法であることだけではない。

多くの利用者が気軽に始めた結果、ギャンブル依存症に陥ることで、「それまで健全だった若者が心身ともに深刻なダメージを受けてしまうこと」の問題を田中さんは危惧する。

オンカジ利用者は20~30代男性が中心だが、若年化が進んでおり、「考える会」にも大学生や高校生の保護者からの相談が増えている。

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