ゼブラがkaku lab.で狙う筆記用具のDXとは 未来の筆記体験を新技術「T-Pen」と「kaku XR」で創出

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紙媒体のニーズが減少すれば、当然ペンの需要も落ち込む。

デジタル化による市場環境の変化と言えばそれまでだが、それで失われるものもあるというのが、長年、この業界で製品を提供してきたゼブラの考えだ。

しかし“手を動かしながら記録する”、あるいは“手の動きで創作物を作る”という行為には、アイデアの創出や脳への刺激といった大きな可能性があり、ビジネスパーソンや学生だけでなく、アーティストやクリエイターにとっても創造の原点になっている。

空間に図形を描き出す男性
すでにデジタル空間を舞台に活躍するアーティストはいるが、より間口が広がりそうだ(写真:ゼブラ)
描いた剣で戦う学生たち
新たなエンターテイメントにつながる可能性も(写真:ゼブラ)

ゼブラの考える“カク行為”のDX

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉も、やや使い古された印象があるが、本質的に業務を大きく変革できた成功事例は必ずしも多くない。とりわけアナログ技術を主軸にしてきた老舗メーカーがDXを図るには、本業そのもののビジネスモデルを見直す必要がある。

そもそも本業であるボールペン開発とはまったく異なる技術者を育てなければならない。NTマイクロシステムズやインタラクティブラボラトリーといったテクノロジー企業に共同開発を持ちかけ、XRや生成AIに関するオープンソースプロジェクトを組み合わせることで“カク”行為のデジタル化を試みた結果がkaku lab.だが、実際のところ“カク行為”のデジタルデータ化は、既存のVR/ARデバイスでも存在している。

では「kaku lab.」は何が違うのか?

ゼブラが強調するのは、長年筆記具メーカーとして築いてきた「アナログの書き心地」へのこだわりだ。ペン先が紙に触れるわずかな抵抗感や、インクが走る際の摩擦具合など、微細な感覚が脳を刺激し、思考と表現を直結させる。その積み重ねが創造力を育むという発想が、このプロジェクトの根底にある。

しまうまを描く様子
“描く”という人間古来の習慣をデジタル空間へ拡張する(写真:ゼブラ)
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