資さんうどん「240億円の巨額M&A」成立の舞台裏 最大手・すかいらーくが「礼を尽くした」一体なぜ

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関東1号店は「1日売上・平均200万」課題は「繁盛店を回せる人材育成」

そして、資さんにとってもうひとつの課題は「関東での人材育成」だ。

「資さん」1号店
「資さん」1号店(一枝店)。歴史はここから始まった(写真:筆者撮影)

筆者が関東1号店・八千代店を訪れた限りでも、着席から提供のスピードまでは意外とスムーズ(ただし、多客のため着席まで2時間待ち)で、「1日平均売上は200万円以上」「1日当たりの客数2000人以上」という結果を出せるオペレーションは、九州で脈々と繁盛店を築き上げてきた「資さん」の人材教育の賜物だといえるだろう。

そもそも、130席の八千代店で1日平均200万円・客数2000人以上を捌けること自体が、尋常ではない。

“平均”ということは、売上・客数が多い日には客席の回転が1日20回ほどという計算となり、「ゆっくり食べるファミリーダイニングが、3分で食べる牛丼屋に近い回転率」「料理が迅速に出続けて、座席は入れ替わりながらも常時埋まった状態」「しかも新人教育と並行」となると……驚異を通り越して「意味が分からない」としか言いようがない。

なお余談だが、資さんのオペレーション・接客の見事さは、北九州エリアに在住する方々から散々聞かされている。筆者は営業マンであった頃に京都郡苅田町(北九州市の南隣)を定期的に訪問しており、初めての資さん訪問も、忘年会の3次会終わりに水の一口も入らない満腹状態で「資さんに入ったことがない? 資さんはきたきゅう(北九州の略称)の誇りだ、奢るから行こう!」と朝の4時に連行されたのが、そもそもの出会いだ。

その後、何度も一緒に食事をするごとに「資さんは味だけではない。おばちゃん(女性店員)は、“北九州のプロおばちゃん”だ。どんなに忙しくても笑顔を絶やさずに注文を捌き切るのは、並大抵の社員教育では不可能だ!」と、複数の方々が口を揃えて絶賛していた。資さんは味だけでなく接客・店づくりも含めて、北九州の方々に愛されてきたと言えるだろう。

資さんは、2018年に「ユニゾン・キャピタル」傘下に入ってからも、創業者・大西章資(しょうじ)さんの精神を受け継ぐ教育プログラム「資さん大学」(現在は「研修、教育プログラムに形を変えている」とのこと)を立ち上げるなど、即座に結果を求めがちな投資ファンド傘下らしからぬ「伝統を守る姿勢」を貫いてきた。

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