GAFAMが人々を支配「テクノ封建制」が示す現実 クラウド資本は多くの労働者を搾取している

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『モダン・タイムス』よりもっと前にフリッツ・ラングが製作した映画『メトロポリス』(1927年)では、独裁者の息子であるフレーダーがたまたま父親が支配する地下の工場「マシーン・ホール」に下りていき、そこで労働者たちが巨大な時計のような機械の針を合わせようと散々苦労している様子を目の当たりにする。

フレーダーはその光景にショックを受け、機械が労働者を非人間的な速度で追い立て、情け容赦なく機械の一部にしていく様子を見て、恐怖のあまり頭を抱えた。

何年か前に、巨大テック企業の新しいツールは伝統的な製造プロセスに大きな変化をもたらしたのか、と父さんは聞いてきたよね。僕は「いや」と答え、「少なくとも今は、まだだね」とつけ加えた。

人間の仕事のペースは機械に支配される

人間が半自動化された生産ラインの一部として、機械にはできない仕事をしている限り、人間の仕事のペースは機械に支配される。そして機械は一緒に働く人間の生産的なエネルギーを、最後の一滴まで搾り取ることを優先する。

それがどうした、と父さんは言うかもしれないね。今どきの工場や倉庫では、労働者の仕事のペースを決めているのがアルゴリズムであって、それがかつての歯車や車輪、チェーンホイールやベルトコンベアと置き換わっただけじゃないか、と。

その会社のニューラル・ネットワークとワイヤレスで接続された、プラグインデバイス上で作動するアルゴリズムによって管理されていることに、なにか問題があるのか、と。

クラウド・プロレタリアート(クラウドベースのアルゴリズムによって肉体の限界まで働かされる賃金労働者を僕はそう呼んでいる)は職場で苦しんでいる。でもそれは、前の世代のプロレタリア階級ならだれしも同じように感じていたことだって。

たとえばアマゾンのメカニカルタークはいい例だ。メカニカルタークのことを、同社は「個人と企業が、分散された労働力にオンライン上でタスクを外注できるようにする、クラウドソーシングのマーケットプレイス」と説明している。

でも実態をありのままに伝えるなら、これは労働者がバーチャルに出来高払いの低賃金で働く、クラウドベースの搾取工場だ。ここで起きているのは、カール・マルクスが『資本論』第1巻の第21章で完全に分析した通りのことそのものだ。

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