フレンチのシェフ監修「江戸前鮨」の贅沢な中身 珍しい食材も活用、どのようなコースなのか?

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「鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ」の特長は、コース構成、フレーバーの厚み、席の設計に現れている。

コースでは珍しい食材が使用されている

コース構成では、“モダンフレンチ&江戸前鮨”という一見異なる要素を、1つのコースにまとめているのが特徴的だ。

導入のエモーションでは、エンダイブやアンティーブといった野菜や、キャビアなど、鮨コースの“つまみ”では見かけられない食材が用いられている。つまみから握りに近づくと米や青海苔が使われるようになり、鮨にスムーズに移行することができる。

鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ
エンダイブとトレビスのサラダ(写真:筆者撮影)

一方でコースには、江戸前鮨では必ず提供される車海老やお椀、玉子がない。その代わりに炭火焼にした牡丹海老、コンソメスープ、デザートが提供されている。

鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ
ミルフィーユ(写真:筆者撮影)

牡丹海老は燻香をまとって非常に香り高く、再び食欲がかきたてられるのがいい。高級鮨でも甘味がつかないことは多く、あったとしてもフルーツやアイスクリームくらいだが、さすがフランス風とあってデザートにも力が入れられている。定番のミルフィーユなど数品のデザートが提供されるのだ。

お椀は鮨ネタのアラに相性のいい赤だしが多いが、ここでは茸と昆布をベースに和牛を合わせたスープを提供。牛の旨味を加えることで、その後に続くデザートとメリハリがつけられている。

食味でも新しいところが見られる。ガリは、ダイスカットしたリンゴを加えたスライスした生姜。フレッシュな果実感があるので、より口中をさっぱりとさせる。

金目鯛には大葉を、赤身漬けには目の前で削った枕崎の鰹節を、大トロには揚げたエシャロットと生姜を挟んで、フレーバーにより厚みをもたせた。江戸前鮨ではネタとシャリのシンプルなコンビネーションが基本だが、ほかの要素が加わることによって、ネタがもつ食味の“奥行き”が広がる。

コースの内容だけではなく、席の造りもユニークだ。カウンター席の両端は、厨房側にも席が設けられており、相対するテーブル卓のように利用できる。カウンターでの臨場感を体験しながら、3人以上のグループでも会話しやすい。

鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ
鮨カウンターの両端は、向かい合って座ることができる(写真:筆者撮影)

鉄板焼ではこのような造りが見かけられるが、高級鮨店では珍しい。フランス料理は1人で食べるものではなく、会話を楽しみながら複数人で楽しむものだが、ここではそのエッセンスが汲み取れる。

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