日本人が体験、イタリア「完全無料のがん治療」 そして気になる「高額療養制度見直し」の行方
100%税金で医療費を賄っているイタリアが、がんや難病の人たちに医療費完全無料を提供している一方で、公費は38%だけの日本が今、さらに高額療養費の限度額を引き上げようとしているのは、どう考えたらいいのか。
「世界に誇る日本の医療保険制度」は本当か
試しに某SNS内の乳がん患者グループの人たちに、治療にかかった(または現在もかかっている)費用について聞いてみたところ、以下のような答えが集まった。
「毎月の治療費は4万4000円でした。私の場合はがん保険に入っていたので、お金で治療を諦めることはありませんでしたが、生活がギリギリで生命保険などに加入できない人にとって、かなり厳しい医療費だと思います」(大阪府和泉市 S.Mさん)
「ステージ4でずっと治療が必要な人には、日本の医療制度は冷たいです。シングルで、親の介護もしながらがんに罹患した知人は、病気がどんなに進行しても収入や保険がなくなることを危惧して、本当に動けなくなるまで働かざるを得なかった」(兵庫県神戸市 Kさん)
「罹患してもうすぐ7年ですが、3週間に一度の点滴をずっとしています。1回の点滴が保険適用後、高額療養費制度適用前の金額で7万8000円ぐらい。高額療養費制度の限度額が引き上げられれば、負担はさらに増えそうです」(愛知県名古屋市 R.Sさん)
健康で普通に暮らしている限り、あまり関係がないかのように見える高額療養費制度だが、2人に1人が人生に一度はかかると言われるがんは、ある日突然やってくる。その時に急に足元をすくわれないためにも、他人事と無関心でいる場合ではないのかもしれない。「世界に誇る日本の医療保険制度」という言葉をよく耳にするが、本当にそう言えるのか。厚生省は最近、がん患者ら団体からの反対を受け、長期の治療を必要とする人に限って一部の上限額を据え置くと発表したが、世界の状況を知り、注意深く見ていく必要があるのではないだろうか。
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