ところが、広州市の自動車生産台数は2018年から減少に転じ、2019年以降は縮小ペースが加速した。その要因は、中国の自動車市場でEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)が急速に台頭し、エンジン車から市場を奪ったことにある。
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中国汽車工業協会のデータによれば、(外資系合弁会社を含む)中国の自動車メーカーが2024年に生産した自動車は3128万2000台に上り、前年比3.7%増加。そのうち、EV・PHVは1288万8000台と前年比34.4%の伸びを記録し、総生産台数の41%を占めた。
そんな中、日系メーカーは中国市場の変化への対応が遅れ、市場シェアを落としている。トヨタおよびホンダと合弁する国有自動車大手の広州汽車集団が発表した速報データによれば、同グループの2024年の自動車生産台数は過去5年間で最低の196万6600台に落ち込み、前年比24.2%の大幅減となった。
重慶はスマートカーで躍進
一方、重慶市共産党委員会の機関紙である重慶日報の報道によれば、同市内で2024年に生産された自動車は254万100台と前年比9.4%増加した。そのうちEV・PHVは95万3200台と前年比9割増の急成長を遂げ、生産全体の37.5%を占めた。
重慶市でのEV・PHVの生産拡大を牽引したのは、民営中堅メーカーの賽力斯集団(セレス)が通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と共同で立ち上げた新興ブランド「問界(アイト)」の躍進だ。
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さらに、国有大手の長安汽車の傘下にある「深藍(ディーパル)」や「阿維塔(アバター)」など、クルマのスマート化を売り物にした重慶の新興勢力がそろって販売を伸ばした。
中国自動車市場の急速なEV・PHVシフトは、企業間競争のみならず都市間競争をも左右する巨大なインパクトを生んでいる。広州市と重慶市のGDP逆転劇は、それを象徴する事例と言えそうだ。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は1月27日
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