なぜ今?「フジにCM出す企業」が見込む"勝算" キンライサーや夢グループが出稿する本当の狙い

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CM枠の料金は、一般に視聴率に紐づいて決まるので、通常は大幅な値下げは行わないはずだ。しかしながら、大量にCM枠の在庫が生じている状況では、値下げも余儀なくされているのではないだろうか(ただし、広告会社にいても、実際の広告枠の取引額は担当者でないとわからないので、公表されることはないだろうが……)。

そうだとすると、フジテレビのCMの費用対効果はさらに高まっていることになる。「名より実を取る」という判断で、フジテレビへのCM出稿を継続・再開したり、新たに出稿したりする企業があってもおかしくはない。

「全面的なCM再開」への道のりは遠い

筆者はかねて主張してきたが、フジテレビにCMを出す、出さないは各社が独自の判断のもとに行えばよいことで、他社の動きにむやみに追随することは好ましくないと考えている。

ただし、フジテレビでのCM放映を決断する企業は、あくまでも限定的なものにとどまると思われる。また、一部企業のCM復活は、応急措置的な意義はあっても、根本的な解決を導くものではないことも留意しておくべきだろう。

誰もが知っているような大手企業のCMが流れるようになるまでは、「フジテレビは復活した」とはとうてい言いがたいが、これらの企業の多くは、「第三者委員会の調査報告を待ってから検討する」といったことを異口同音に述べている。

3月末に第三者委員会の調査報告が上がってくるが、それで終わりではない。そこから経営陣の刷新と、組織改革の発表がなされることが求められる。フジテレビ内ではすでに社内改革への着手が始まっているが、3月末までに一定の成果を出すことも求められるだろう。

CM完全復帰までは、まだまだ遠いというのが実際のところだ。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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