なぜ今?「フジにCM出す企業」が見込む"勝算" キンライサーや夢グループが出稿する本当の狙い

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統計データから見てみよう。テレビメディアの広告費は、東日本大震災が起きた2011年に一時的に落ちたが、その後しばらくは経済回復とともに、右肩上がりで上昇している。

東日本大震災の直後の1カ月程度の間、テレビCMのAC差し替えがあった他、広告の自粛が行われた。このときも、テレビCMをはじめとする“広告不要論”は巻き起こっていた。しかしながら、その後の広告市場の回復を見る限りでは、“広告不要論”は杞憂に終わったといえるだろう。

とはいえ、2016年以降で見れば下落基調にある。2020年にコロナで急減して、翌年には回復しているが、長期的に見れば、テレビ広告費は右肩下がりといえる。

テレビメディア広告費
テレビメディア広告費の推移(「日本の広告費」〈株式会社電通〉より筆者作成)

一方で、広告費全体は右肩上がりで成長しており、特にインターネットメディアが急成長している。テレビCMをはじめとするマスメディア広告が、インターネットメディアに侵食されているという傾向は顕著に見られる。

今回のフジテレビ問題で、“テレビCMは不要”という流れにはならないはずだが、テレビCMの衰退を加速させる可能性は十分にある。

いずれにしても、現在の特殊な環境下でのCM放映は、テレビCMの価値を見直すいい機会になることは間違いない。

逆風下でも「フジテレビでCM放映を続ける」意義

フジテレビで現在もCM放映を続けている企業は、何をメリットに考えているのだろうか? 下記の4点が考えられる。

1. リーチ(到達)の確保
2. 商品・企業のイメージアップ
3. 売り上げへの貢献
4. 副次的な効果

インターネットをはじめ、その他のメディアの広告にはない、テレビCMならではの価値は、1で挙げた到達力の大きさにある。

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