内向きNECの迷走、1万人削減の悪夢が再び 低い海外競争力

拡大
縮小
内向きNECの迷走、1万人削減の悪夢が再び

NECは1月26日、1万人の人員削減を断行すると発表した。2009年にも2万人のリストラを実施したばかりで、収益悪化に歯止めがかかっていない。

同社は09年に半導体など不採算事業を分社化。パソコン事業も昨年、中国のレノボ・グループと統合して切り離し、ようやく黒字決算を定着させるはずだった。それでも今期業績見通しは最終損失1000億円と2期連続の赤字だ。タイの洪水被害で部品調達が滞ったこともあるが、何年間も成長路線を描けないでいる。

低い海外競争力

主因は国内依存から脱せられないことだ。「人員削減をしても、海外の成長がなければジリ貧になりかねない」(JPモルガン証券の和泉美治シニアアナリスト)。NECの海外売上比率は16・5%にとどまる。競合する富士通は31・5%あり、売上高では3倍もの差がついている。

NECは創業以来、NTTからの受注に頼り、収益を上げてきた。今でも最大顧客であり、その売上比率は1割強に上る。そうしたNTT依存体質が、海外進出を阻害していることは否めない。

今期業績の下方修正の要因となった携帯電話の苦戦もしかり。NTTドコモによって安定的に新製品を買い上げてもらい、一時はトップシェアとなったが、スマートフォンの人気とともに外資系メーカーに需要がシフトした。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT