「オーバーツーリズムという幻想」煽る人の無理解 「定率の宿泊税」「局地的な課題解決」を徹底せよ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
腕を組む男性
データで見ると国レベルでの「オーバーツーリズム」は存在せず、「対応策」を講じることで十分改善可能だと指摘する(撮影:尾形文繁)
2015年に刊行され、日本の観光政策に多大な影響を与えた『新・観光立国論』。著者のデービッド・アトキンソン氏が、昨今話題の「オーバーツーリズム」の本質を解説する。
本記事の概要
(1)人口に対するインバウンド比率は30カ国中28位で、国レベルのオーバーツーリズムはない
(2)日本では、マスツーリズムとオーバーツーリズムの区別ができていない。日本に起きているのはオーバーツーリズムではなく、未対応マスツーリズム
(3)局地的な「オーバーツーリズム」も主に対応の遅れの結果
(4)局地的な「オーバーツーリズム」は地方行政とDMOが対策を講じるべき
(5)定率の宿泊税を導入して、受益と負担の公平なバランスをとるべき
(6)インバウンドと犯罪は相関関係がないし、実習生などの問題と混合するべきではない
(7)2025年には4100万人のインバウンドが訪れると予想する

「第二の輸出産業」に成長した観光業

2024年のインバウンド訪日観光客数は3687万人に達しました。これは2024年当初の予想を大きく上回り、前年対比47.1%の増加。2019年のコロナ前のピーク時(3188万人)と比較しても15.6%増加しました。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

消費額は8兆1395億円に膨らみ、2019年比で69.2%の増加となりました。

インバウンド収入は、自動車産業に次ぐ規模となり、輸出産業としては2番目に大きな産業となっています。

GDPに比べて8兆円の寄与は大きくないと過小評価する人もいますが、8兆円は外貨の総額だけで、これに経済波及効果があり、GDPへの貢献は8兆円を上回ります。

国によって異なりますが、1.5倍から2.5倍と分析されています。

また、円安によって訪日観光客が増えていると誤解されがちですが、そのような事実はありません。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事