今が買い時!?ホンダ「S2000」FRオープンの刺激 官能的な超高回転ユニットの咆哮に酔いしれる

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そんな“快適F1”をコンセプトにしたS2000だが、必ずしも万人受けするモデルではなかった。実際に筆者も初期型のS2000を所有していたことがあるのだが、かなりピーキーな特性で四苦八苦した思い出がある。また、この記事を書く前に改めてS2000を運転したくなり、ホンダ車の純正用品の開発・生産をしている『ホンダアクセス』が所有するS2000を借りて乗ったが、その印象は当時と変わらないものだった。

SW2000のインテリア
S2000のインテリア(筆者撮影)

2.0Lエンジンは高回転まで引っ張れば官能的なVTECサウンドを奏でるが、低速トルクが少なく、低回転で走る街乗りではギクシャクすることも多い。さらにS2000はマニュアルミッションのみとなっており、ショートストローク&クロスレシオで小気味よくシフトチェンジできる反面、ゆったりとドライブするには不向きで、クラッチもノーマルにしては重めな踏み心地。試乗車はサスペンションが変更されていたが、過去の記憶をたどるとノーマルの足まわりも多少のピーキーさがあり、味付けも硬めだったことを覚えている。2シーターオープンスポーツカーなので仕方ないがコクピットもタイトで、荷物を置く場所も少ない。

ちなみにマツダの「ロードスター」をはじめとして多くのFRオープンカーは、「走る楽しさ」や「FAN DRIVE」を求めたモデルが多く、乗り比べるとS2000はかなりストイックな印象を受けるだろう。そのため、一部では「S2000は面白くない」「S2000は疲れる」のような言葉も聞く。たしかに一般的な爽快感を楽しむオープンカーをイメージしてS2000に乗り込むと、かけ離れた印象を受けるかもしれない。

マイナーチェンジでマイルドな方向へシフト

2007年のマイナーチェンジモデルで、いわゆる最終型になる
2007年のマイナーチェンジモデルで、いわゆる最終型になる(写真:本田技研工業)

実際にS2000は、2009年6月末の生産終了までに何度もマイナーチェンジを実施したが、マイルドな乗り味になるように手が加えられた。例えば、サスペンションやスタビライザー、アーム、ブッシュ、タイヤ&ホイールサイズなどの変更によって、コントロール性を高め、よりフラットな乗り心地に変更されていく。

さらにエンジンも2005年に2.0Lから2.2Lに排気量を増やし、レブリミットを9000rpmから8000rpmに引き下げ、最高出力も250ps/8300rpmから242ps/7800rpmとしている。ただし、最大トルクは22.2kg・m/7500rpmから22.5kg・m/6500~7500rpmと増強。こういった改良も含め、いかに初期モデルが過激だったのか、そしてホンダの技術者の本気が詰まっていたのかが垣間見える。

【主要諸元表 2007年10月~2009年6月 S2000 ベースグレード】
S2000
型式 ABA-AP2
トランシスミッション 6速マニュアル
ボディサイズ 全長4135mm×全幅1750mm×全高1285mm
ホイールベース 2400mm
トレッド フロント1470mm/リア1510mm
最低地上高 130mm
車両重量 1250kg(ナビゲーション装着車:1260kg)
乗車定員 2名
車内サイズ 長さ800mm×幅1350mm×高さ1055mm
エンジン型式 F22C(水冷直列4気筒縦置)
総排気量 2156cc
ボア×ストローク 87.0mm×90.7mm
圧縮比 11.1
最高出力 178kW[242ps]/7800rpm
最大トルク 221N・m[22.5kg・m]/6500~7500rpm
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