日経平均、現実味を帯びる1万7000円割れ 市場には株価浮揚の材料が見つからない
残念ながら、FRBやECB(欧州中央銀行)、日銀などの中央銀行の金融政策決定者は、金利操作はできても原油価格を操作することはできない。
米国のオバマ政権は、シェールオイルの増産をてこに、雇用創出と景気回復を目論んだ。ここまでは良かったのだが、これが原油価格の下落を引き起こし、世界の景気や金融市場に結果として悪影響を与えたことは誤算だった。さらに中国経済の大幅な減速という難題も浮上してきた。FRBができることはすでに限られており、今後も厳しい政策対応が迫られることになる。わずか1カ月でFRBが利上げできるような環境に劇的に改善するはずもなく、もし、この状況下でFRBが10月27日・28日の次回FOMCで利上げをすれば、それは驚きでしかない。信任が失墜するだけである。
高い変動率が続き、売りが加速する懸念
今回のFRBの利上げ見送りによって、株価にとっての今までの良いパターン、つまり「利上げ見送り→市場に安心感→株価上昇」のサイクルが、「利上げ見送り→世界経済の不透明感→市場に不安感→株価下落」の悪いパターンに転じた点はきわめて重要である。
年内のあと3カ月で、FRBが願うような「世界経済の回復と原油価格の反転の兆し」が確認できるのだろうか。それがなければ、年内利上げは見送られ、市場の不安定さだけが残ることになる。
一方で、筆者は、市場関係者が「FRBの利上げ時期にあまりに執着しすぎ」だと感じている。より重要なのは、FRBの利上げ時期よりも、繰り返し警鐘を鳴らしているように、中国経済の悪化と企業業績の修正リスクだ。
業績予想はこれまでの経済環境を前提としたものである。この大前提が崩れてしまえば、割安とみられていた株価収益率(PER)は、一転して割高となってしまう。また市場にショックがあった場合には、株価が割安な水準でも売られることさえある。
ヘッジファンドや機関投資家などのプロといわれる投資家には、株価急落時には、それに伴う資産目減りを回避するため、機械的にポジションを調整、つまり株式の売却を行う傾向がある。また市場ボラティリティ(変動率)が高まった場合にも、収益のブレを低減するため、同様に機械的に株式の売却を行う。
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