真の読解力を鍛えるために真っ先にするべきこと 読解力を構成する「3つの力」とは?

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読解力の三類型

①言いかえる力……同等関係整理力

②くらべる力………対比関係整理力

③たどる力…………因果関係整理力

円が重なり合ったところは、2つまたは3つの技能が同時に求められるということを意味する。

「黄色い」「果物」のバナナ

「どういうことか?」言いかえる力──同等関係整理力

バナナを例に取ってみよう。「バナナ」を「黄色い果物」に言いかえるのは、抽象化。「甘い」「黄色い」「果物」「長細い」「房の形状」などといういくつもある特徴から「黄色い」と「果物」を選んで引き出し、同時に他の特徴を捨てる。なお、抽象する際の「捨てる」という側面に注目すると、それは「捨象」とも表現できる。

まとめるとこうなる。

抽象化とは、固有の特徴を引き出すこと。固有の特徴を減らすこと。
具体化とは、固有の特徴を与えること。固有の特徴を増やすこと。

もう少し実際に即して表現すると、こうなる。

抽象化とは、絵に描きにくいような表現に言いかえること。
具体化とは、絵に描きやすいような表現に言いかえること。

「言いかえる力」とは、単語レベル、文レベル、文章レベルで抽象化・具体化することにより、発信者の抱いているイメージを受信者に対しありのままに届ける(あるいは受信者がありのままに受け取る)ための力である。

「どう違うか?」くらべる力──対比関係整理力

東京都と北海道は、どう違うか。これを説明した次の4つの文のうち、「分かりやすい」と言える文は④だけである。

①「東京都は狭いが、北海道は涼しい」
②「東京都は狭いが、北海道は広くて涼しい」
③「東京都の面積は約2200平方キロメートルだが、北海道は広い」
④「東京都は狭いが、北海道は広い」

①は、「対比の観点」が統一されていない。「面積」の観点と「気温」の観点とが混在している。「対比の観点」とは、くらべる際の「見方」のことである。「どのような点でくらべているか」ということだ。

②は、対比の観点のバランス(パーツの数のバランス)が悪い。後半だけ観点が2つある。

③は、対比の観点が面積に統一されてはいるが、前半は具体的、後半は抽象的であり、これも対比の観点のバランス(抽象度のバランス)が悪い。

④は、観点が統一され、パーツの数も抽象度も、バランスがよい。

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