国内需要の弱さにもかかわらず、中国の粗鋼生産量はほとんど減少していない。中国鋼鉄工業協会の推計によれば、主要鉄鋼メーカーの2024年の粗鋼生産量は8億1560万トンと前年比1.14%の微減にとどまる見通しだ。
主原料の鉄鉱石の輸入量はむしろ増加している。中国の2024年の鉄鉱石輸入量は12億3650万トンと、前年比4.9%増加した。
粗鋼生産量がわずかながらも減る中で、鉄鉱石の輸入量がなぜ増えたのか。一部の業界関係者は、(国内需要の低迷と輸出単価の下落で)業績が悪化している鉄鋼メーカーが、(価格が安い)低品位の鉄鉱石の輸入を増やしたためではないかと見る。また、輸入された鉄鉱石が港湾在庫として積み上がっているとの見方もある。
反ダンピングが増加
国内需要で消化しきれない鋼材は輸出に向かう。では、具体的にはどこに運ばれているのか。
中国鋼鉄工業協会のデータによれば最大の輸出先はベトナムで、2024年1月から11月までの輸出量は1178万2000トンに上った。2位以下の輸出先はアラブ首長国連邦、インドネシア、韓国、ブラジル、サウジアラビアと続く。
鋼材の輸出急増は、諸外国で中国製の鉄鋼製品に対する(反ダンピングなどの)貿易救済措置の増加を招いている。中国鋼鉄工業協会のまとめによれば、2024年以降に開始された調査件数は2025年1月初旬までに33件に上り、2020年から2023年までの合計件数を上回った。
「わが国の鉄鋼メーカーは現在の経営環境を踏まえて、持続可能なやり方で輸出業務を推進し、自社の権益を守るために積極的に行動すべきだ」。中国鋼鉄工業協会はそう提言している。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は1月14日
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