7割は課長にさえなれません 城 繁幸著
166ページに「雇用問題早見表」が掲載されている。横軸に「大きな政府←→小さな政府」、縦軸に「現状維持←→改革は必要」を設定し、経済団体、労働団体、政党、メディアの位置を著者の考えで分類している。ほとんどは「現状維持」に配置され、「改革は必要」に位置づけられているのは日経新聞とみんなの党だけだ。
172~173ページではメディアのスタンスを解説し、日経新聞、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』『日経ビジネス』が改革スタンスとしている。その他のメディアは視点が古くて感情的と著者は考えているようだ。
著者は、日本の雇用が制度疲労どころか破綻しかけていると主張している。雇用構造は1階に雇用調整を担う弱い労働者(非正規労働者、女性)がいて、2階には身分と給与、そして年金まで保証された恵まれた労働者(公務員も含む)が住んでいる。これはいびつである。そうなってしまった主因が年功序列制(硬直した賃金制度)だ。
この主張が全面的に正しいかどうかはともかく、指摘の多くは的を射ていると思う。ではどうすればいいのか?
近い将来の物語として「201X年に新労働契約法の成立」を著者は描いている。バラまきを続ける余力を失った日本で連立与党は、5年間の時限立法で基本給の最大4割カット、6カ月分の基本給上乗せによる金銭解雇ルールを明記した新労働契約法を成立させる。
その結果として、これまで自由を失っていた雇用市場が急速に活発化していく。人材流動化が始まり、人々は希望を取り戻し元気になっていく・・・。日本型雇用が硬直化し、腸捻転のような症状を起こしているとしても、さてこのような将来がやってくるかどうか?
(HRプロ嘱託研究員:佃光博=東洋経済HRオンライン)
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