グリーンランドの資源開発、中国に商機はあるか レアアースなど豊富に埋蔵も、期待先行が現実

✎ 1〜 ✎ 1530 ✎ 1531 ✎ 1532 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

盛和資源が出資した時点で、ETMはすでに鉱山開発のフィジビリティースタディーを終え、(グリーンランド自治政府に対して)採掘許可を申請中だった。そして認可が下りた暁には、盛和資源は鉱山の開発権益を最大60%まで買い増せる契約になっていた。

ところが、ETMへの採掘許可は今もまだ下りていない。その間にETMの株式は(追加の出資受け入れを通じて)大幅に希釈化され、2023年末時点の盛和資源の持株比率は8.93%に、株主順位は第4位に低下した。

地政学上のリスク上昇

グリーンランドは国土の大部分が北極圏にあり、自然環境が極めて過酷で交通アクセスも不便だ。資源開発のポテンシャルは大きいものの、実際の開発はあまり進んでいないのが現実と言える。

グリーンランドは軍事上の要衝としての重要性も高まっている。写真はアメリカがグリーンランドに置くピツフィク宇宙軍基地(アメリカ宇宙軍のウェブサイトより)

中国企業にとっては地政学上のリスクも上昇している。グリーンランドの内政と司法は、資源開発の許認可権を含めて自治政府の管轄下にある。しかし外交、国防および財政の管轄権はデンマークが持つ。

近年、デンマークを含む欧州各国やアメリカの政府は、(国家安全保障上の懸念から)中国の対外投資に神経をとがらせている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

グリーンランドでレアアース開発に取り組むもう1社のタンブリーズ・マイニングは、2020年に採掘許可を取得し、2024年にその延長が認められた。

ロイター通信の報道によれば、同社CEO(最高経営責任者)のグレッグ・バーンズ氏は、採掘許可の延長に際してデンマークとアメリカの政府関係者から中国系企業に権益を売却しないよう強く要請されたという。

(財新:羅国平)
※原文の配信は1月11日

財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事